夜長の一杯
静岡県に茶園の親類がいたこともあり、実家で日本茶といえば静岡産の緑茶だった。といっても当時は品種など意識もないまま(今考えると、おそらく「やぶきた」の深蒸しタイプ)淹れて飲んで、と繰り返していただけだ。産地や品種、仕上げの違いに興味をもち始めると、それぞれの茶葉の個性も楽しめるようになった。
秋の肌寒さが身にしみるこのごろ、お気に入りは「ゆたかみどり」である。
ゆたかみどりは主に九州で栽培されている品種で、やぶきたよりも早く芽を出す早生品種と呼ばれている。中でも鹿児島県の知覧はこの品種の産地として有名。
このお茶の特徴はなんと言ってもコクにある。
茶葉そのものに「サツマイモのような」とも形容される独特のフレーヴァーがあるし(飲む前に茶缶に鼻を近づけてクンクンするのも楽しみ)、実際に飲んでみると味も香りも甘みが強調されている。舌に残るような渋みはほとんど感じられないまったりとした飲み口だ。
お茶のすっきり感やキリっとした苦味を楽しむには向かないが、ぬるめのお湯で淹れたコクのあるゆたかみどりは、ホッと一息つきたい秋の夜長にうれしい一杯なのだ。
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