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響き始めたワルツ

どのような種牡馬を付けたとしても、生まれる産駒の水準が高く一定以上の活躍を期待できる繁殖牝馬は、生産者やオーナーにとって非常に有難い存在だろう。G1勝ちを連発した*ダンシングキイ(Dパートナー、Dインザダーク、Dインザムードの母)や、メジャー&スカーレットを産んだスカーレットブーケなどはケタが違うが、ワルツダンサーという繁殖をちょっと注目している。

ワルツダンサー(父サンデーサイレンス)自身は1998年~2000年にかけて小西一男厩舎に所属。芝マイル辺りを主戦場としてオープンまで勝ちあがり、重賞中山牝馬SやCBC賞にも出走した牝馬だった。

引退後、静内フジカワ牧場で繁殖入り。
2002年の初仔*ブライアンズタイムの牡馬がワイルドワンダーで、美浦の久保田貴文厩舎からデビューした。ダート戦で頭角を現し、今年に入ってG3を連勝(アンタレスSとプロキオンS)して盛岡の南部杯でも2着、先のJCダートに挑んで5着に健闘したのは記憶に新しい。

2003年産のラインドライブは*グラスワンダー産駒。デビューとなった3歳6月の未勝利戦を快勝した後、昇級の壁にぶつかりながらもクラスを上げて現在は11戦4勝、準オープンで上位争いをするまでに力を付けている。まだ底を見せていない馬で、重賞戦線にも食い込んで来そうな存在だ。

2004年産*オペラハウス産駒のオペラブラーボは、2歳12月に芝1600の新馬戦を勝ち上がった。その後勝ちきれないレースが続いたが、休み明け3戦目となった先週の福島競馬500万特別(1800M)で5馬身差の圧勝を演じた内容は、これからの躍進を期待させるに十分なものであった。

今年の2歳(2005年産)はタニノギムレットを父に迎えたラインブレイク。9月の新馬戦を4着し休養中だが、1番人気に推された期待馬である。

2006年は始めての牝馬(父フレンチデピュティ)が生まれている。ラインブレイクともども、今後の成長が楽しみに待ちたい。

もともとワルツダンサーは、その母*ウィシングフォーアスターが輸入されて日本に入っていて、近親にはFlat Fleet Feet(G1トップフライトH・D8F)や、Gygistar(G1キングスビショップS・D7F)などがいるアメリカの牝系になる。サンデー×ミスプロ×Nダンサーという王道の構成に目新しさはないが、母系のPolynesianやBull Dogが効いているのか、活躍馬は軽さよりも力強さを前面に出すタイプに出ている。

まだまだ地味とはいえ、異なる種牡馬を父としながら産駒がみな堅実に走るのだから、繁殖牝馬としてのポテンシャルは優秀といえよう。

母ワルツダンサーとその産駒たちのオーナーは草間庸文氏。
不動産担保ローン会社「アサックス」社長でもある草間氏は同社のリクルートサイトで
<私の経営方針は「堅実経営」すなわち不良債権を出さないことです>
と語っているが、まさにその方針を地で行くワルツダンサーというわけだった。

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