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四面楚歌

敵に囲まれた状況を表す「四面楚歌」という成句は、包囲された敵陣(四面)から楚の国の歌が聞こえ、項羽が自軍の絶望的な状況を悟ったという中国故事に由来するものだ。

阪神JFを勝ったトールポピーは、道中何度も他馬と接触するという2歳牝馬には過酷な状況の中、まさに四方を取り囲む17頭の敵を打ち破った見事なレース振りであった。

 

トールポピーはジャングルポケット産駒。ジャンポケは当然社台系のBMSを持つパターンが多く、中でも母父*サンデーサイレンスは好成績で、現時点で27頭がJRAで勝ち星を挙げているジャンポケ産駒のうち11頭がこの組み合わせである。

祖母がEl Gran Senorであるフサイチホウオー&トール兄妹は<ジャンポケ×サンデー×ノーザンダンサー系>と重ねられているわけだが、この配合でいうとさらに確率が高く、出走した13頭のうち8頭が勝ちあがり、7頭が2勝以上を挙げている。デビュー3連勝でアーリントンCを制したトーセンキャプテン、ダートに矛先を変えて一変したジャンバルジャンなどもこの中に名を連ねている。

Hyperionが多いせいかジャジャ馬的な面があり、どちらかというとコンスタントな勝ち上がりよりも「イチかバチか」的な傾向を見せているジャンポケ産駒の中で、このニックスの安定感というものは興味深いものがあると言えるだろう。

もうひとつ、ジャンポケ産駒で特徴的なのは競り合っての勝負強さ。重賞勝ちはフサイチホウオーの東京スポーツ杯2歳S・ラジオNIKKEI賞・共同通信杯(いずれもG3)、タスカータソルテの京都新聞杯(G2)、トーセンキャプテンのアーリントンC(G3)、今般のトールポピーと計6勝。これらすべて、2着馬との着差が0.1秒以内の接戦を制したものである。

また未勝利をようやく勝ち抜けた馬が、500万条件戦でも格負けせずに上位争いをするケースもよく目にする。気力が充実しているときは期待値以上の頑張りを見せるという点は、今後の馬券検討でのヒントになろう。

トールポピーはノーザンファームを後ろ盾にした一口馬主クラブ・キャロットファームの所有で、全兄フサイチホウオーが活躍する前に、2,800万円という価格で募集された。キャロット&角居師はハットトリックやシーザリオでも組んだ名コンビ。

「四面楚歌」の舞台となった垓下(がいか)の戦いを経て項羽は劉邦に敗れた。項羽が寵愛した虞姫=虞美人も自害し、虞美人の墓に咲いたことからヒナゲシは虞美人草という異名をもつことになったとされているようだ。

その虞美人草は、4月から6月ころにかけて美しく咲き誇る。
背の高い虞美人草(トールポピー)は、来春どんな花を私たちに見せてくれるのだろうか、楽しみにその時を待つとしよう。

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