勝てば心酔 負ければ泥酔
カルロス・ペレグリニ大賞を強い競馬で制したLatencyの父Slew Gin Fizzは、G3(シェリダンS)勝ちの他にはホープフルS-G1で2着した成績が目立つくらいの競走馬だったから、Mr Prospectorが出ている母系に対する期待も込みで種牡馬入りという経緯だったのかもしれない。
ところでSlew Gin Fizzの母と全妹は、日本に輸入されている。
母の*スループリンセスは1996年、Cure the Bluesを受胎して「サクラ軍団」の生産で有名な静内の谷岡牧場に輸入され、生まれたSlew Gin Fizzの半妹はサクラブルースと名づけられた。同馬はJRAで7戦1勝の成績を残して繁殖に入り、4頭の産駒のうちサクラグッドラック(父サクラバクシンオー)は5勝を挙げている。
翌年生まれた牝馬サクラスマッシュ(父サクラチトセオー)は17戦して1勝した。日本での産駒登録はこの2頭のみとなっている。
全妹の*ラングラクイーンは、1年早く1995年に日本にやって来た。6歳まで走って24戦4勝(フラワーC-G3にも出走)、主戦場は芝中長距離だった。引退後は馬主であった柏台牧場で繁殖生活に入っており、現在は社台ファームに飼養されている。これまで目立った産駒は出ていないが、現2歳のキングスボネット(父シンボリクリスエス)は05年セレクトセールにおいて5500万円で取引された期待馬である。
Slew Gin Fizzに対しては、自身の競走成績と血統の字面から、「早熟気味」「ダート」「短距離」といった産駒イメージを想起していた。しかし2頭のペレグリニ馬を出した南米での種牡馬成績や、全妹の*ラングラクイーンの現役時代はむしろ「成長力」「芝」「中長距離」がキーワードになっているから、認識を新たにした方がよいのだろう。とは言ってもこの種牡馬の産駒は日本で走っていないので、馬券実用的には無意味だが。
ジンにレモンジュース・砂糖・ソーダ水を加えたカクテルがジンフィズ。fizzとは炭酸が発砲する様を表すそうだが、ジンフィズから生まれたLatencyは泡と消えずに南米の大一番を制した。今週は日本でも1年の棹尾を飾る大レースがある。同じジンにライムを加えればギムレット、その仔ウオッカはファン投票で1位に支持したファンたちを勝利の美酒で酔わせることができるだろうか。
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