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夢と期待の値段

最初は1億円越えでも驚いたセレクトセールも、今では2億3億という落札価格にも慣れてしまった感がある。もちろん現実離れして実感が伴わない数字であるのに変わりはないけれど・・

そんな中で、上がG1を買ったというわけでもないのに毎年「お約束」のように高値が付くのが、*ファンジカ産駒である。

2000年春に生まれた持ち込み馬Hallig産駒を筆頭に、生まれた産駒は軒並み高額で取引されることになる。
産駒の落札額と現時点の成績を列挙していこう。

2000年産 牡・父Halling     (競走馬名ファイトクラブ)  1億1,550万円
 →40戦5勝 準オープン

2001年産 牡・父サンデーサイレンス (ハイアーゲーム)    1億7,500万円
 →21戦4勝 青葉賞G3 京阪杯G3 3着日本ダービーG1

2002年産 牡・父サンデーサイレンス (アサクサキンメダル)  2億1,525万円
 →2戦0勝 JRA未勝利で園田競馬に転出

2003年産 牡・父サンデーサイレンス (トーセンジュビリー)  1億6,170万円
 →12戦1勝 500万条件

2004年産 牝・父アグネスタキオン  (ダノンフローラ)    未上場
 →4戦1勝 500万条件

2005年産 牡・父アグネスタキオン  (トーセンファンタス)  1億2,600万円
 →未出走

2006年はネオユニヴァースの牡駒で、やはりというべきか、セレクトセールで1億2,600万円の価格が付いた。購入者はフサイチの関口オーナーだ。
上場されなかった2004年産を除けば、7頭すべてが1億円超えでの落札である。

一方で競走馬としての成績をみると、息の長い活躍を続けるファイトクラブ、ダービー3着と大健闘し重賞を2勝したハイアーゲームは面目を保っているとしても、それ以降の弟妹達は、広い庭付き一戸建てが買えるくらいの価格に込められたであろう期待に応えているとは、到底言えない成績に甘んじている。

にもかかわらず毎年これほどの値が付けられるというのは、「今度こそ」と思わせる程に馬っ振りが良いということなのだろう。確かにハイアーゲームなど、スラリと胴が伸びた黒鹿毛で、素人目にも素晴らしい馬体をしている。

逆に売る側(社台)の商売にとっては、打ち出の小槌のような、素晴らしい繁殖牝馬ということになる。

*ファンジカはリボー父系のLaw Society(愛ダービー)産駒で、現役時代はG3イエルバ=ブエナH(T9.5F)勝ち、G1イエローリボンH2着などの成績を残した。近親に派手な活躍馬が出ているわけではないが、4代母のIvanjicaは牝馬ながらに1976年の凱旋門賞を制した女傑である。

先日取り上げたワルツダンサー産駒のコストパフォーマンスと比較して*ファンジカは・・という文脈で書こうと思っていたトピックだが、今週はハイアーゲームが久々の重賞勝ちを遂げ、一方のラインドライブは1番人気に応えられず敗退した。まったく競馬は思ったとおり行かないもので。

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