プラチナ急騰中
3歳時に目の醒めるような末脚でマーメイドSを差し切ったソリッドプラチナム。その後はタイトルの上積みこそないものの、コンスタントに出走を重ねているおかげで、これまで獲得した本賞金は1億626万円に及んでいる(京都牝馬S出走前の時点)。
ソリッドプラチナムは現在、あるランクのトップに立っている。
ソリッドはヒダカ・ブリーダーズ・ユニオンの募集馬だが、その価格は税込みで399万円。対して賞金額が前記のとおり1億円を超えているから、回収率が2687%である。これは、あるサイトの集計によれば、2000年以降に募集され、現役で走っている一口馬主クラブ馬の中で、堂々1位の数字である。
続く2位がアイポッパー(募集額1600万・賞金額3億9480万・回収率2467%)で、3位がシルクフェイマス(同2000万・4億5775万・2288%)と続く。G1ホースではブルーコンコルドが1258%で9位、ヴァーミリアンが1065%の11位となっている。
*以上の数字は維持費などの諸経費を考慮していない
ソリッドは叔父にはウインクリューガー(NHKマイルC)がいるし、母のリザーブシートはディープインパクトの従兄弟にあたる。つまり母系は仏オークスなどを勝ったHighclere(エリザベス女王の馬として有名)の流れを汲み、その一族からはNashwan、Nayefも出る名門だから、筋が通っている。
募集時にはまだ未知のサイアーだったステイゴールド産駒だったとはいえ、399万円とは思い切りのよい価格設定だ。クラブ側の戦略的な意図もあったのだろう。
引退馬を含めると、3000万円の価格で10億円以上を稼ぎ出したタップダンスシチーがトップである。
数字の意味合いが違うので単純比較はもちろんできないが、セリでの落札価格を計算のベースにすると、さらに大きな数字が出てくる。例えば2001年北海道10月市場において378万円で落札されたギャラントアローは、後にスワンSなど6勝を挙げて2億8490円を獲得。単純な回収率は7537%に達する。また数々の名馬を生んだセレクトセールでは、1999年に913万円で落札されたバランスオブゲームが、G2を勝ちまくって6億47万円を獲得し、6677%という回収率を叩き出したのが最高だ。
参考までに、ディープインパクトは取引額7350万円に対して12億5050万円を獲得し1801%、昨年の年度代表馬で7億円以上を稼ぎ出したアドマイヤムーンは、1680万円で取引されているから4333%である。(彼らの場合は種牡馬としてその数倍の価値があるわけだが)
ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオンの牝馬といえば、単勝43060円、G1史上最大の番狂わせ言われた89年エリザベス女王杯のサンドピアリスを思い出す。そういえば、”固体”と”砂”との違いはあるが、小柄な馬体で懸命に追い込んでくる姿はどこか似ている。
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