果断と禁断のあいだ
前回からの流れで、Sadler's WellsとFairy kingの全兄弟(かつ双方が大種牡馬)を近交させたら、ベタなインブリードだなあ・・でもベタベタすぎてプロはしないのかもね・・と思っていたらえらい身近にあった。今日(2月10日)の東京は積雪順延になってしまったが、2Rの新馬戦にエントリーしていたタイキトライアンフ。
この馬の母*カラキーアはSadler's Wells産駒、そして配合されたのがFairy king産駒の*ファルブラヴ。要するにSadler's Wells≒Fairy kingの2×2という濃いインブリードである。
調べるとこれが結構いて、ノーザンファームが生産したプログレスも同じ配合だし、フォーリアキングはサドラー牝馬に*エリシオというパターンである。この2頭の場合は産駒数も多いので、世界中を探せばこの程度の配合はたくさんあるのだろう。
最近の日本のサラブレッドで自分が気づいたキツい配合といえば、他にはオフザレコード(サクラハゴロモ≒アンバーシャダイの2×2)とか、競走馬としてデビューせずに繁殖入りしてしまったローコロナシオン(リアルシャダイ2×2)なんてのもある。後者は父母の血統表内でリアルシャダイだけでなくNorthern Dancerの位置まで同じ。イブキマイカグラを使ってまで相似交配をしたかったということだろうか。
知っている人は知っていると思うが、かつてはヤチヨポーセレン(シャイニングヨルカ≒クイーンスジェストニセイの1×2、なおかつクヰーンスジエスト2×3×3)とか、リトルジャスミン94(トドロキヒホウの1×2)といった強烈な配合もあった。リトルジャスミンは生産者の小野瀬さんが間違えた(!)という説もあるが・・真実は不明。
インブリードが祖先の優れた資質を固定するという意図で行われるのは他の家畜やペットでも同じであって、1×1(兄と妹)とか1×2(父と娘、母と息子)といった配合がインブリードとして一般的という動物も少なくない。競走馬の血統に慣れていると思わずのけぞってしまう。
かつてある海外のサイトで、1×1という近交のサラブレッドを紹介しているのを目にしたことがあるが、凱旋門賞馬Coronationがそうであるように2×2辺りが現実の競走馬としての限界だろう。
ちなみに名牝Specialを美しく織り込んだ配合で有名な*エルコンドルパサーだが、渡邊オーナーは、母のSaddler's Galに*ジェイドロバリーをつけたいと述べていた。これはSpecial(≒Lisadell)の4×3・4というエルコンよりも字面上は濃い3×3・4となる。Saddler's Galにファルブラヴなどをつけるとさらにこってりするのだが、渡邊オーナーはそこまでベタなことをしないところが好きだ。
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