栗毛の名マイラー
95年世代は各路線に粒が揃っていた話に触れたことがあるが、その中でマイル戦線を担ったのがエアジハードだった。
今年に入ってからエアジハードの産駒が元気である。
稼ぎ頭のアグネスラズベリ(牝7)こそシルクロードSで振るわなかったが、ナスノストローク(牡7)がバレンタインS(OP)を勝ち、ナナヨーヒマワリ(牡7)が準オープンの北山Sを差し切った。また雪で施行条件が芝からダートに変わった斑鳩Sでもショウワモダン(牡4)が完勝を収めてオープン入りしている。
エアジハード産駒の傾向を定性的に表現すれば、当たり外れが大きいということになろう。
オープン馬が上記4頭いるのに対して1600万や900万あたりの中堅どころは少ない。現4歳馬は27頭がJRAに登録をしていて、ショウワモダンを除けば中央競馬で勝ち星を挙げたのはファートゥムだけである。
このあたり、同じユタカオーを父に持ち、産駒のアベレージの高さを誇るっているバクシンオーとは趣が違う。
現役時代のエアジハードは、芝で切れ味鋭い末脚をみせるマイラーだった。3歳時に富士S(G3)を勝ち、4歳時は安田記念でグラスワンダーを抑え込み、秋にはマイルCSを完勝して春秋のマイル路線を制圧。また秋の天皇賞にも果敢に挑み、未知の距離でスペシャルウィークの末脚には屈したものの、0.2秒差3着に大健闘した。順調さを欠いたNHKマイルCを除けば、1400~1600mのレースでは7戦5勝2着2回という安定感である。同世代としてはグラスワンダーやエルコン、マイラーとしては前年に引退したタイキシャトルに隠れた印象だが、個人的にマイラーとして非常に高い評価を与えた1頭だった。
エアジハードの牝系は3代母の*サワーオレンジが日本に入ってきていて、オークスを勝ったシャダイアイバーを始めとして一族からペインテドブラック、センターライジング、プレシャスカフェらの重賞勝ち馬や、ガレオン、ステッペンウルフなどの素質馬が出ている。社台ファームゆかりの母系といってよいだろう。
産駒の偏差が大きいことに加えて相変わらず人気を誇るサクラバクシンオーとキャラが被っているせいもあろうか、種付け頭数は暫減にある。初年度は113頭→2年目97頭までは良かったが、2004年34頭、05年が30頭、06年24頭、昨年が14頭という推移。ここのところの上級馬の活躍で注目が集まればよいが。ちなみに今年の種付け料は昨年より若干アップして、生後50万円(受胎30万)とのこと。
ところで<エア><ユタカオー産駒><伊藤正徳厩舎>といえば全くニガい思い出がある。ナリタブライアンと同世代のエアチャリオット。新馬からの鮮やかな3連勝を現場で観てしまったが故に、その後追いかけては痛い目に逢った。新馬→OP特別の連勝馬を過大視しないようになったのは、チャリオットのせい(おかげ?)である。
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