その"BIG"は本物か?
100馬身差勝ちなどの伝説が残る21戦20勝の名馬Man O'Warは、その鮮やな栗毛になぞらえて『Big Red』の愛称で親しまれた。その呼称は半世紀後、初代と同じように圧倒的な強さを誇る栗毛の名馬Secretariatに引き継がれる。2代目は1973年アメリカ3冠馬である。
そのアメリカではケンタッキーダービーが目前に迫っている。今年は傑出した主役を欠き、混戦の様相を呈しているが、ブックメーカーのオッズを覗くと、一番人気はBig Brownになりそうだ。
Big Brownは昨年9月のデビュー戦(T8.5F)を快勝の後に休養を挟み、3月5日に迎えた今季緒戦もガルフストリームで12馬身3/4差の圧巻勝利。実はこのレース、当初は芝を予定していたものの、悪天候による馬場悪化でダートに変更となったもの。この結果を受けて陣営が路線を変更したのであれば、塞翁が馬ということだろう。
重賞初出走となったフロリダダービー(G1)でも自分で前を潰して5馬身差を付けた勝利。3戦3勝というキャリアにかかわらず、一躍ケンタッキーダービーでの有力馬にのし上がったというわけだ。
ネット上ではBig Brownの底知れぬ強さを評価する意見がある一方で、血統面に不安要素を求める声も散見される。かく言う自分も実は後者の立場に寄ってしまうのは、どうしても父Boundaryの日本での産駒を観ているからだろう。*サーガノヴェル、*ダイワバウンドリー、*ビーチフラッグ・・・障害でも走った*エイシンエーケンを除くと、活躍の場は短距離に限定されるサイアーである。また海外での代表産駒Minardiにしても同様だ。
もちろんRound Table、Damascus、Nureyevと重ねられた母系は軽くはないし、父のBoundaryもこの3頭を持つことで類似交配になっているのがキモでもあるのだが、Boundaryとケンタッキーダービーがどうしてもイコールで結びつかない。バクシンオー産駒をダービーで買えるか、というのと似たようなもの。
まあいつのレースも外野の声はいろいろあるもので、Big Brownが偉大なる先輩Big Red級なのかどうかは、3日になればすべて明らかになる。無事に当地に到着したという*カジノドライヴとベルモントで無敗対決、なんていまどきマンガでもないようなベタなストーリーになれば、それはそれで楽しめそうだが。
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