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輝きは色褪せない

共に無敗の両虎ベルモントで相打つなんてことになったら、ドラマでもないベタ・・・・なんてことをKYダービーの前に書いた自分も、まさか本当にベタベタな展開になるとは思わなかった。フィクションならここで、ライバル同士のドラマチックな戦いが2400Mで繰り広げられるところだが、現実はこうも冷徹な結果になる。

*カジノドライヴ。日本で新馬戦を勝っただけのキャリアでアメリカに渡り、当地のG2をも制すというのは、北米ダート路線の壁の厚さを考えればまさに破天荒な所業なのだ。タイキシャトルなどで海外の一線級と渡り合ってきた藤澤師もこの路線では*タイキブリザードのBCなど全く結果がでていない。3冠の最終戦に対抗馬として出走するところまで辿りつきながら、しかしゲートイン当日に出走取り消しという決断に、陣営は以下ばかりの苦渋を飲んだことだろうか。

馬の状態や適性を最優先に。当たり前のようなお題目の言行を一意させ、時には馬主との衝突すら辞さずに信念を貫き結果を出し続ける藤澤師は、好き嫌いは別としてやはり只者ではない
もし今回、二度と訪れることのないような好機を前にして、脚部に不安を持つ管理馬を出走させたらどうだったろう。競馬だから結果はわからない、勝ったかもしれない。しかしそれをしたら藤澤師ではなかったということだろう。
結果を恐れず果敢に前進することは賞賛に値するが、頂点を目前にそこから撤退をすることの方がずっと勇気と胆力が必要だ。誰であっても、いつであっても。
*カジノドライヴと藤澤陣営の挑戦は終ったが、その輝きは褪せることはない。

そしてBig Brown。アメリカのファンは一本かぶりの支持を与えた。それもそうだろう、5連勝の内容がいずれも一方的であり、既に対戦した馬たちに逆転の目があるとは思えない。3冠達成の可能性は高いというのが衆目の一致するところだった。

結果はご存知のとおり。さまざまな不安要素が取りざたされたKYダービーを圧勝し、逆に唯一の対抗勢力と見られたカジノの回避で負ける要素を探すのが難しくなったベルモントで惨敗するのだから、事実は小説より奇なりという表現はまったく持って含蓄に富んでいる。直線の映像にはヒヤリとしたが、大きな故障ではなかったのはよかった。

強力なライバルがいなかった。そんな見方ができなくはないが、2冠達成までに見せたBig Brownのパフォーマンスは強烈だったし、08年のアメリカ3冠路線は「Big Brownの年」として人々のクロニクルに刻まれるのは間違いないだろう。ファンの希望を載せて偉業に挑んだBBとデュトロワ厩舎の挑戦は散ったが、その輝きも決して褪せるものではない。

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