« 何本でもニンジン | トップページ | 個人と社会の反転 »

航海王子の冒険は続く

ボルサ宮殿は旧ポルト市外にある人気の観光スポットであるが、その前の広場には台座に仁王立ちし、右手を彼方に向けて掲げる一人の男を見ることができる。大航海時代の幕を開け、ポルトガル隆盛の礎となったエンリケ航海王子(Henry the Navigator)の立像だ。

 

ポルトガル王ジョアン1世の子として産まれたエンリケは、航海学校を作り、アフリカ西海岸に新しい航路を開拓する事業に生涯を捧げたとされる。

現代の航海王子ことHenrythenavigatorが、マイルG1を4連勝している。
英2000ギニーでは本命馬New Approachの引き立て役と見られていたが、これをハナ差退けての勝利。続く愛2000ギニーで雪辱に燃えるNew Approachを返り討ちすると、ついに1番人気に推されたセントジェームスパレスSも快勝して、3歳マイルの頂点を揺ぎ無いものとした。そして初の古馬相手となったサセックスSでもRaven's Passを頭差押さえ込んで、4-11の人気に応えたところである。

Henrythenavigatorはサドラー牝馬にKing Mamboで、例のSpecialをクロスさせるという今や王道のひとつともなった配合だ。半姉にQueen Cleopatra(愛1000Gトライアル)、近親に*サフロンウォルデン(愛2000G)やDolphin Street(フォレ賞)などの名が連なるからマイルを十八番とする母系といえようか。

4歳になっての英愛1000G→セントジェームスパレス→サセックスという道のりは、同じ馬主(マグナー)&同じ厩舎(オブライエン)の巨岩*ロックオブジブラルタルをなぞるもの。「ザ・ロック」はこの後ムーンランドロンシャンからBCマイルとさらにG1の連勝を伸ばして伝説の域に達したが、調教師はすでにHenrythenavigatorを、「ザ・ロック」と同等以上に評価しているとも報じられている。

レース後のインタビューでオブライエン師は今後のローテについて、連戦に耐えうるタフさを備え、ダートでの走りも秀逸であることを挙げた上で、ジャック・ル・マロワ賞、クイーンエリザベスⅡS、BCクラシックを出走の候補として明言している。

ポルトガル南西に位置するボジャドール岬の先は、かつて海は煮えたぎり海が奈落に落ちる”世界の果て”が存在すると恐れられていた。長い間、海の男たちに見えない壁として立ちはだかっていたその「不帰の岬」をついに越えたのは、エンリケ航海王子の命を受けたジル・エアネス、1434年のことであった。
アイルランド生まれのHenrythenavigatorには越えるに越えられぬボジャドールは存在するのか。航海はまだまだ続く。

|

« 何本でもニンジン | トップページ | 個人と社会の反転 »

馬*海外」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 航海王子の冒険は続く:

« 何本でもニンジン | トップページ | 個人と社会の反転 »