ゴールドラッシュを夢見て
今年も孫世代が多くのG1を制するなど最先端を走り続ける*サンデーサイレンスだが、フジキセキやアグネスタキオンといった主力後継以外の分野でも存在感を示す辺りに、やはり時代の突破者たる所以を感じる。
ラジオNIKKEI賞を制したレオマイスター、その父ニューイングランドはそんな立場の1頭である。
エルコンの渡邊隆氏所有、白井寿厩舎に所属したニューイングランドは、デビューの芝2000Mを快勝し長期休養を挟んで条件戦を駆け上がった素質馬。6戦4勝というキャリアの上がり馬として01年の函館記念(G3)に挑戦したがここは壁に跳ね返されて7着に終った。センスのあるレース振りからその後の躍進が期待されたものの、故障もあったのだろうか、結局その函館記を最後に引退することになる。
ニューイングランドは祖母がWoodmanを生んだ*プレイメイトで、近親に*リズムやPrivate Accountの名が出る名牝系の出。そんな後ろ盾もあっての種牡馬入りだったが、手ごろな料金設定もあって予想以上の人気を集め、2005年の種付け頭数は160頭に上った。その後はさすがに落ち込んでいるが、今回の重賞制覇で改めて注目されるだろう。
サンデーの場合は重賞勝ちなどの目に見えた結果を残せずとも、「母系が良血」「故障で活躍できなかったが素質はあった(はず)」「兄姉が活躍馬」などのパターンで種牡馬となる仔が少なくない。ニューイングランドは前2項に該当するし、例えばグランデグロリア(兄ゼンノロブロイ)やオンファイア(兄Dインパクト)などは「兄姉」パターンの典型にあたる。
まあ昔から傑出した種牡馬を巡ってはこうした展開はあるもので、ローリスク・ハイリターンという戦略上それらの多くは失敗に終るのだが、逆にこの試みは当たると大きい。近年ではカンパニーを出したミラクルアドマイヤがよい例だ。SSで言うと未出走馬エイシンサンディはミツアキサイレンスを出して”当たり”を引いたし、大井で走っただけのゴールドヘイローは、北海道競馬で2歳戦の勝ち馬を量産し話題を呼んでいる。
ゴールドヘイローは4代母「予知者」→3代母「遠い」→2代母「近い」ときて、母父が「金を探して」母が「金に近い!」という名を持つから、中村畜産にとってはかつて発掘した*ミルジョージ以来の鉱脈を掘り当てた、といったところだろうか。
ただしこの分野は競争相手が多く消長が激しいだけに、ゴールドラッシュが続いて種牡馬のヒエラルキーをよじ登っていけるのか、はたまた崖を急降下していくのかは紙一重。ニューイングランドにしてもゴールドヘイローにしても、正念場はこれからだ。
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