兄弟の七光り
TamerettといえばTentamやKnown Factの母であり、また*エーピージェットや*タイキフォーチュンも輩出した優秀な母系で、日曜のポプラSを勝ったサクラオリオンもこの一族に属する。しかしむしろエルコン産駒の成長力というか晩成力に感服したオリオンのオープン入りである。
エルコン産駒の走りを見るにつけつくづく惜しい種牡馬を失ったと思いつつ弟の*ナイスベンゲルをかつて取り上げたのであるが、名馬/名種牡馬の弟にして名血というバックボーンの割には人気が集まらないようだ。ただ5頭いる1歳馬は血統的にも面白いラインナップが並ぶ。母*ファミリーバイブルはBallade牝系でサドラー2×3!だし、Azurine牝系の母*グラシアはSpecial≒Lisadell≒Thatchの5・4×5・4という仕掛け。母*クラウンフォレスト(ニューイングランドの弟)や母*ヤングマザー(ヴェルメイユ賞)もいて、渡邊オーナーもここでは力が入っている。なんとか活躍馬が出てほしいものだ。
さて、ナイスベンゲルが今年から供用されている白馬牧場には、他にも”賢兄弟”種牡馬がいる。
*ツクバシンフォニーの3歳下の弟にあたるYeats(父Sadler's Wells)はコロネーションCを勝ち、さらに06~08年に20Fのアスコットゴールドカップ(G1)を3連覇して、欧州を代表するステイヤーに育った。ツクバ自身もエプソムカップ(G3)を勝ったほか、NHKマイルカップや毎日王冠でも善戦したDanehill産駒だったが、種牡馬としては殆ど種付け実績がない状況のようだ(05年1頭、07年3頭)。
今年から種牡馬入りした*シェルゲームはご存知のとおり*アグネスデジタルの半弟にあたる。毎日杯(G3)2着や古馬相手の巴賞勝ちなど資質の高さは疑うべくもなかったが、良くも悪くも底を見せないままの引退になっている。
種牡馬としてどの程度の需要があるのかまだわからないが、Swainというやや重そうな血も含めて最初から人気を集めるタイプではなかろう。デジタルの成功が追い風になればよいのだが。
サンデー仔や社台系など一部の人気種牡馬に200を越える牝馬が集まるのもある意味仕方がないが、こういったマイナー種牡馬が細々とでも種付けを続けられる馬産の環境が整えばよいなあと、素人ながらに思う。日本だったらHoly Bullなんてまず産まれなかっただろうね。
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