ニューマーケットに虹は架かるか
某スポーツ紙でも取り上げられていたから知っている方もいると思うが、イギリスの2歳牝馬に秀逸な存在が出現した。デビュー戦を楽勝した後に向かったスイートソレラS(7F・G3)も6馬身差で完勝のRainbow Viewがそれで、2戦2勝の勝ちっぷりを評価されて、各ブックメイカーのオッズで5~6倍と現時点で1000ギニーの1番人気に推されている。
Rainbow ViewはDynaformerの産駒で、母がデルマーオークス(G1)勝ち馬のNo Matter Whatという血統。
父のDynaformerは本邦に於いては*ドラゴンウェルズや*ミスティックベルを出している程度であるが、北米では悲劇の名馬Barbaro(ケンタッキーダービー)やCritical Eye(ガゼルH)を筆頭に活躍馬を量産しているRobero直仔のサイアーである。そして母父がHis Majestyで3代母がGolden Trailというところで想起されるは*ブライアンズタイムだ。BTは父Robertoで母父がHis Majestyの全兄弟Graustark、祖母がGolden Trailだから、DynaformerとBTとは非常に似通った血統構成をしているということになる。
自身A級馬にちょっと足らなかった現役時といい、種牡馬としても産駒が芝ダート兼用で距離もこなす中長距離砲というあたりといい、両馬は結構キャラが似ている。
さて、Rainbow Viewの母父はNureyevだ。日本において*ブライアンズタイム×Nureyevという組み合わせの馬を調べてみると19頭が該当する(TARGETデータ)。うち1頭が未出走引退、デビュー18頭で勝ち鞍をあげたのは13頭というまずまずの成績である。出世頭は交流重賞エンプレス杯を勝った小田切馬のサヨウナラで、この馬は母系にPrincequilloとNasrullahのニックを内包するという点においてRainbow Viewとも共通項を持っている。
晩成タイプが多いDynaformer産駒にしては珍しくこの時期の活躍馬というわけだが、早熟の開花なのか大輪の蕾なのかはまだわからない。ギニーまであと9ヶ月、虹のように輝くその栄誉を手にするためには単に速いだけではなく、たとえ何があろうと(No matter what)乗り越える運の強さも必要だろう。そうでなければ「あ、そんな馬もいたねえ」とクラシック戦線からサヨウナラだ。
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