予想外のDirtsider
船橋競馬場で行われた日本テレビ杯(交流G2・D1800)は、ボンネビルレコードが人気を集めたフリオーソを競り落としてレコード勝ち。大井競馬所属当時も黒潮杯や東京記念を勝った実績馬だったが、昨年春に美浦の堀井厩舎に転厩してさらに一皮剥けた感があり、JRA所属として帝王賞やかしわ記念(G1)を制している。
さて、ボンネビルレコードの父は*アサティス。
*アサティスはNorthern Dancer系のTopsiderを父に持ち、ジョッキークラブ大賞やカンバーランドロッジSを勝つなど16戦6勝。キングジョージ3着もあり、主役にはなれずとも欧州2400路線の名脇役といった役回りだった。キャリア途中で「カリスタ」の原田享氏に購入されて、先のキングジョージは柴田政人騎手が騎乗した。
引退後は来日して種牡馬となった。大崩れの少ない戦績だったし、*リズムやPrivate Accountらを擁する名門牝系を出身とするだけに、「芝の中距離で渋い産駒をステディに出す」のではと思っていが、これが大間違い。
産駒の出来はバラつきが大きく、未勝利でまったくスピードに付いていけないような仔も多かった。活躍馬は総じてダート中距離を庭とし、自分のレースができると思いがけない強さを発揮する一方、もまれたりすると脆い面を併せ持つのが特徴。
フェブラリーSや記念すべき第1回ジャパンカップダートを勝ったウイングアロー、ムラ馬なのに気付くとダート1800重賞を5勝もしていたスマートボーイ。不振続きのフェスティバルはアメリカに渡って重賞ウイナーとなったし、メイショウテゾロは突如マイルCSで激走して穴をあけた。代表産駒はみな記憶に残る個性派ばかりだ。
ボンネビルにしたって、失礼だが*アサティスを忘れたころに出てきた<予想GUY>である。
Topsider自身がダートで勝ち鞍を挙げていて、*アサティスだけでなく*デュラブ(産駒にフェブラリーSのシンコウウインディ)の父でもあるから、サイアーラインとしてはダート向きのパワーを伝えるということなのだろう。
導入などにも関わりが深かったと思われるグランド牧場は、毎年のように*アサティス産駒の生産を続けていた。*アサティス自身は昨年死亡してしまったが、種牡馬入りしたウイングアローやオーナーブリード馬のスマートボーイも所有の繁殖牝馬に結構種付けしているようだから、その想い入れは相当なものの様子。
(蛇足だが、社台系サイアーばかりじゃつまらんと思って、グランド牧場生産の*アサティス産駒を一口持ったこともある。勝てなかったけれどいい思い出)
Assatisという馬名はどうやらエスペラント語のような人工言語のひとつであるインテルリングア語(Interlingua)の単語で、英語で言うとenoughやquiteに当たるから「十分に」とか「相当な」という意味になる。ボンネビルは今の勢いを維持していけばJBCやJCダートでも十分に勝負にはなろうが、*アサティス産駒だけに人気ではちょっと買いにくい。相当買いにくい。
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