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異邦のチャレンジャー

欧州競馬のクライマックスである先週のロンシャン開催。凱旋門賞はもちろんのこととして、もうひとつ注目していたのが直線1000Mで争われる短距離王決定戦、アベイユ・ド・ロンシャン賞(G1)だった。ハンガリーの弾丸Overdoseが出走していたからである。

Overdoseは地元ハンガリーやオーストリアではスピードがケタ違いでワンサイドの6戦6勝。この成績を引っさげて乗り込んだドイツでもロット・ハンブルグT(G3)→ゴルデネ・パイチュ(G2)と連勝して、底を見せないまま勇躍ロンシャンに乗り込んできた。

このエトランゼが、王者Mrchand D'orにどこまで通用するか。そんな注目の中で迎えた直線1000Mのレースであるが、意外な結末を迎える。

なんと発走時にFleeting Spiritのゲート扉が故障により開かず、スタートの不成立を知らせる赤い旗が振られた。日本でいうところの”カンパイ”である。しかし想定外の事態に気付かない一部の馬と騎手たちは電撃のレースを走りきってしまい、その中で先頭ゴールを果たしたのが他でもないOverdoseであった。

(スボリッチ騎手のインタビューはこちらで

すでにその能力を発揮する状態にはないと判断されたのだろう、Overdoseは凱旋門賞の後に仕切りなおされたレースには出走しなかった。アベイユの栄誉は幻に終わったのである。

他のエトランゼたちはどうだったか。
スペインのサンチェス厩舎所属で6月のキングススタンドS(G1)を勝ったEquiano(このレースの後にヒルズ厩舎へ転厩)は、同じくアベイユに出走して9着。一方、そのサンチェス厩舎のBannabyは前日のカドラン賞でYeatsらを破り、見事長距離王に輝いている。わがメイショウサムソン、直線を向いたときは5着くらいはと思ったが、力負けだろう。

そして触れぬわけにはいかぬZarkava。古馬の強豪に同期の仏・独・伊ダービー馬が顔を揃え、しかも牡馬とは初対戦というこの舞台で、1番枠から馬群を割ってくるのだから、もう驚嘆、賞賛するしかない。アガ・カーン一族の粋といべき血統が美しいこの名牝の、それは歴史に残る末脚だった。アスワンはふたたび喜びに沸いているだろう。

ザーラ姫のDarjinaは6戦つづけてG1で2着が続き引退が発表されたが、この2頭が時代のアガ・カーン馬産を担っていくのは間違いない。

追記:操作ミスにより、本文を一度削除してしまいました。10/12に書き直した文章ですので、元文とは一部表現などが違っている箇所があります。ご容赦ください

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コメント

Overdoseのことは全く知りませんでした。
「地元でぶっちぎり」を観ましたが、これは凄い!
こういう海外競馬ネタはどうやって仕入れているんですか?
私はごくごく平凡な競馬ファンに過ぎませんので、
たまに競馬雑誌の海外競馬情報を読むぐらいで、
この馬のことは全く引っ掛かってきませんでした。

それにしてもアベイユのカンパイも凄い話ですよね…。

投稿: マズルウィン | 2008年10月 7日 (火) 22時20分

マズルウィンさん、はじめまして。
お越しいただきありがとうございます。

私も業界の人間でもなんでもない、市井の競馬ファンにすぎません。海外の情報はほとんどネット経由で拾ってまして、そこにちょっと色づけした拙文を書かせていただいています。

ブログ読ませていただきました。内容も文章も、私が好きな感じですので、今後もお邪魔させてもらいます

なにかありましたら、またコメントおねがいします。

投稿: りろんち | 2008年10月 8日 (水) 21時20分

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