中山の急坂は根性で走れ
アメリカの生産統計を調べたときに名が出た*エーピージェット。自分なんかにすると外国産馬を「外車」なんて呼称した時代の印象深いマル外なのだが、サンデー以後の競馬ファンの中には、この馬を知らない人も少なくないのだろう。歳を取るわけだ。
*エーピージェットは父Fappiano×母Taminette(BMSはIn Reality)という血統で、92年のクラシック世代だからミホノブルボンやライスシャワーと同期になる。朝日杯(G1)でブルボンの3着、明けて3歳の京成杯(G3)を勝利するなど、早い時期からスピードを武器に活躍した。4歳春以降は不振が続き、活路を求めたダートでも勝ち星は挙げられないまま引退した。
全姉にG1馬Tappiano、近親にGone WestやKnown Factなどの名馬が名を連ねる良血だった*エーピージェットは引退後、97年に母国アメリカで種牡馬入り。産駒からは全国区の活躍馬はいないものの、重賞入着など12頭のステークスウイナーが出て、供用されていたニューヨーク州のサイアーランクではトップも獲っている(05年)。
血統面の需要を考えても彼の地での種牡馬入りは正解だったろう。
そんな*エーピージェットは06年4月、放馬して隣の放牧地にいたGold Tokenというミスプロ仔の種牡馬に突進。「ガンつけてんじゃねえよ」「やるのか?」てなやり取りがあったかどうかは知らないが、2頭は大乱闘となり、Gold Tokenは木に激突して死亡してしまうという事件もあった。この際に*エーピージェット自身も大怪我を負い、一時は<楽観できない深刻な状況>と伝えられたほどであったが一命は取り留めている。その影響もあってか昨年は種付けがなかったようで、今年の2月に正式に種牡馬引退が発表された。
ちなみに後継のA.P Jetterは未出走馬。母Oueee Bebeはリンダ・ヴィスタH(G3)勝馬で87年のBCディスタフ3着馬だがそれ以外は非常に地味な母系である。ライヴフォール1000ドルで昨年の種付け頭数6頭だから、立派なマイナー種牡馬といえよう。
「ブルボン世代」と書いた*エーピージェットは短距離路線でいえばサクラバクシンオーとも同期になる。対戦成績1勝4敗と歯が立たなかった日本の快速王はまだまだ種牡馬現役、今週のスプリンターズSにもカノヤザクラが出走予定だ。バクシンオー仔はここぞというときに淡白な負け方をしがちなだけに、頂点を掴むには父の戦友が見せたようなファイティングスピリット?が欲しいところだ。
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