小さな町の大きな夢
イタリア本土の西に位置するサルデーニャ島は美しい地中海に囲まれた、ヨーロッパで名を馳せるリゾート地である。北西部は歴史的にスペインの文化が色濃く残る地域で、港町アルゲロは「小さなバルセロナ」とも呼ばれているそうだ。そのアルゲロから海岸沿いに南下すると小さな町Suniがある。
問題は距離の延長とは思っていたが、ここではちょっと役者が違った。川崎の全日本2歳優駿(Jpn1)の*スーニは、メトロノースやワンダフルクエストなど決してレベルが低くない相手にあの圧勝である。
さて、*スーニの血統をみてみる。
父のSotoは日本でもお馴染みの*デヒアが輸入される前にアメリカで産まれた産駒だ。
現役時はケンタッキージョッキークラブS(G2・D1700)など6戦5勝、負けたのはスーパーダービー(G1)2着のみという堅実派であった。
05年に種牡馬入りしているからスーニの2歳世代が初年度産駒ということになる。Bloodhorseデータでは北米フレッシュマンリーディング33位であるが、ステークス競走の勝ち鞍数による集計ではトップになる。
ちなみに賞金集計には入っていないが*スーニがSoto産駒の稼ぎ頭だ。
来年の種付け料が$5000(約45万円)、派手さはないがお値打ちの種牡馬というとろこだろう。アメリカに初めてサンデーのG1馬ハットトリックを導入したWalmac Farmで供用されている。
母系は掘り下げると*ブラックタイアフェアーやMontreal Red(フューチュリティS)が出ているとはいえ、それほど活気のあるラインではない。母父のRibot系種牡馬Roanokeは一応G1馬ではあるが、殆ど日本ではなじみがない。
概観すれば、さほど自己主張の強くない土壌(母系)で、Sotoという品種の持つストロングポイント=仕上がりの早さやダートでのスピードが素直に花開いたというところだろうか。陣営ではUAEダービーから(可能性として)ケンタッキーダービーの名を挙げているようだ。楽しみではある。
ノーザンファームの吉田勝巳氏の吉田和美夫人がオーナー。*キンシャサノキセキや*ギシアラバストロ、ジャガーメイル、*ロックドゥカンブなど、「ほぉなるほど」という命名センスも好きである。人口が1000人台という小都市の名をなぜあの青鹿毛馬に授けたのか私は知る由もないが、きっと何か由縁があるのだろう。
| 固定リンク
「馬*血統」カテゴリの記事
- オセアニアで咲いた薔薇(2018.02.25)
- もう一つの里帰り(2017.12.31)
- 塗り重ねられたもの(2017.12.23)
- 山野浩一さんのこと(2017.07.22)
- 気まぐれな間欠泉(2017.02.14)
コメント
スーニのボトムラインはファンシミンと同じ。だから社台も買ってきたのかと思われます。芝でも・・・と思います、個人的に。母父はヒシカツリーダーの母の兄ですね、因みに。
投稿: すに | 2009年1月28日 (水) 10時55分