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奇跡のバラを咲かそう

'09新種牡馬外伝 - *ロージズインメイ

55頭中の22頭。
昨年のラフィアンターフマンクラブ第一次募集馬のうち、父に*ロージズインメイを持つ馬の数である。会員の多様な希望に応える点でもリスクヘッジという意味でも、一口馬主クラブがこれだけ特定の種牡馬(それも新種牡馬)産駒に比重を置く例はまず眼にしない。

マイネル=岡田繁幸氏がこの種牡馬にかける期待の大きさは、相当なものである。

ドバイワールドカップの勝馬でHalo父系の*ロージズインメイには、ずばりポスト・サンデーの期待が掛けられている。岡田総帥は「サンデーサイレンスの後継種牡馬を手に入れたいと願い、多額の投資をし、失敗を重ねました。もっと早くロージズインメイと巡り会いたかった」という主旨のコメントを寄せ、また種牡馬の展示会でも「柔軟で芯のある筋肉の持主です。きっとよい仔を出してくれるはず」「*ロージズインメイの産駒は出来るだけ買いたい」と最上級の賛辞を捧げたという。

最近は*マイネルラヴや*アグネスデジタルが重賞馬を出すなど”岡田系種牡馬”もそれなりの成功を収めるケースも多いが、特に輸入した種牡馬となるとイマイチだったというイメージがある。いや正確には*シルヴァーエンディング、*イブンベイ、*ムタファーウェクらも活躍馬を出したりはしているものの、ビッグマウス岡田節という予断があるため、期待ほどではなかったねという印象になってしまうのだろう。

そういう意味でいえば、*ロージズインメイはかなり高いハードルを課せられたという見方もできる。ロージズからすれば「そんな無茶振りしないでよー」と言いたいところか。

”5月の薔薇”という名は、Run for the rosesという別称を持つケンタッキーダービーをモチーフにしたものであろう、勝者に掛けられるレイは色鮮やかである。

ところでバラには青い品種が存在しない。交配によって青に近い品種を作り出す営為が重ねられたが、そもそもバラには青い色素(テルフィニジン)が存在しないことがわかり、Blue Roseといえば「不可能」の意味を纏うほどであった。

それが近年のバイオ技術の発展と試行錯誤の研究により、パンジーから抽出した青色遺伝子を組み込み、見事可憐な青いバラが開発されたのだった。オーストラリアのヴェンチャーと共同開発したサントリーの関連会社は、今年その青いバラの切花を市販化する予定だという。

同じ2009年にデビューする2種類のバラ。「不可能」から新たに「奇跡」という花言葉が授けられた青いバラとともに、*ロージズインメイも鮮やかな花を咲かすことができるだろうか。

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