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名剣とオリヴィエ

'09新種牡馬外伝 - デュランダル

昨年人気となった『篤姫』にしろ何にしろ、歴史上実在した(とされる)人物をモデルとした物語は100%史実通りというわけではない。ドキュメントでない以上多かれ少なかれ脚色や演出が入っているのは当然とも言えるが、中には時代を遡っただけのフィクションという例もある。
『水戸黄門』や『遠山の金さん』に至っては様式美ファンタジーとも言うべき域に達していて、そこまでいけば一つの世界ではあるが。

『ローランの歌』はフランスとバスク人との争いを題材とした叙事詩であるが、相手がイスラム教徒になるなど、多分にもれず長年語り継がれる間にさまざま舞台設定や登場人物が変容してきたようだ。しかし時代を経ても変わらず伝えられているのは、主人公ローランが持つ剣デュランダルの切れ味である。

<名は体を表す>という競馬においては必ずしも真ならざる言い回しが、デュランダルには嵌った。スプリントとマイルのG1を3勝、それも先手必勝というパターンが多い短距離戦で、決まって大外をブン回しての差しきりである。関係者はもちろんだが、あれほど馬券を買っていて気持ちのよい勝ち方はないだろう。

デュランダルの兄弟姉妹は短距離志向が強く、乗りようによってはデュランダルも2000位まではこなしただろうが、その気性や瞬発力が最も活かせるのが1200~1600であったということなのだろうか。

いずれにせよ、なかなか結果が出なかった母父ノーザンテーストとのアンチニックスの呪縛を始めて破り、珍しい後方一気で頂点を極めるなど、サンデー産駒の活躍馬の中でも異彩を放った名剣であったのだ。惜しむらくは、なぜか府中で出走する機会に恵まれなかったこと。安田記念を観たかった。

血統を概観すると*ノーザンテーストを通じてお決まりのAlmahmoudのクロス、そしてサンデーと相性の良いハイペリオン系Heliopolisを母方に持っている。配合で言えばある種サンデーの典型的な手筋ではある。種牡馬としても当然期待はできるし、同じサンデー×テーストのディヴァインライトが望外の結果を残しているのも、心強い材料と言えよう。もし海外供用するとすればオセアニアが面白そうだが。

余談だが、母母父のCreme dela Creme(Heliopolisの孫)は「クリームの中のクリーム」と直訳されるが、これはフランスで「最高」を意味する慣用表現だ。オダギラー風味で言えば「オトコノナカノオトコ」(字余り)ってとこか。

さて『ローランの歌』でのローランは、ロンスヴァルの闘いでの死の直前、敵の手に武器が渡るのを防ぐべく剣を大理石に打ち付ける。しかし見事割れたのは大理石の方であった、というのが名剣デュランダルの伝説である。
ちなみにローランと共に命を落とした盟友オリヴィエは、名馬デュランダル物語に於いてはマイルCS3連覇を阻止して引導を渡す役回り(オリヴィエ・ペリエ)を演じることになった。

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