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アンチテーゼ

'09新種牡馬外伝 - *タップダンスシチー

キャリア後半は故障の影響もあって負けが込んだナリタブライアンだが、クラシック3冠に有馬記念までも制した3歳時の走りは破壊的で、まさに手がつけられない強さを誇った。その全盛時のブライアンに唯一、黒星をつけたのが京都新聞杯のスターマンである。

スターマンは輸入種牡馬*ワイズカウンセラー産駒。*ワイズカウンセラーはAllegedを経由したリボー父系の種牡馬で、”底力””大物喰い””気性難”といったこの父系のイメージを体現したかのようなスターマンの勝利に、血統好きとしては血が騒いだものだった。

そんなリボー父系の幻想を、久しぶりに感じたのが*タップダンスシチーだ。

折り合い重視・瞬発力勝負という傾向が強い昨今の競馬であるが、強いときのタップは、淀みないペースで先行しラスト5ハロンから加速するようなレースをした。佐藤哲三もまた優等生的な騎手が多い中で、「勝ちに行く意思」を強く感じさせる稀有な乗り手だ。そのスタイルがタップダンスの能力を余すことなく引き出していた。

だからタップダンスはサンデーキラーだった。重賞7勝のうち2着にサンデー産駒が入ったのは05年の金鯱賞(ヴィータローザ)だけ。溜めた脚を残り400Mで爆発させるような典型的サンデーにとって、タップの流れは天敵だ。

*タップダンスシチーと佐藤哲三という異端は、”サンデーサイレンス的時代”だからこそ輝きを放った、現代競馬のアンチテーゼだった。そしてまたリボー父系だからこそ、そんな役回りがこの上なく似合ったのである。

ところでリボー父系が我国で勝った平地G1となると、*タップダンスシチーは、89年菊花賞のバンブービギン以来となる(はず)。上がり馬として一気に頂点まで上り詰めたビギンは、迫力のある低重心の走りでビギナーだった自分の記憶に強く焼きついているが、残念ながら種牡馬としては失敗に終わった。以降、この父系からは冒頭のスターマンやメイショウモトナリ、ヤマニンアビリティ、ブラボーグリーンといった重賞馬が出てはいるが、メールラインを繋ぐまでには至っていない。

*タップダンスシチーは*デヴッドジュニアと共に、この父系の復権を担うことになる。
さて、タップは4代前にその*Ribot、母父がNorthern Dancerという今ではちょっと古臭さも感じる血統構成だが、3代母が名繁殖Miss Carmie。昨年のダービー馬ディープスカイやリーチザクラウンなど、本邦で活火山状態のボトムラインである。サイアーとしても意外性を秘めていそうだ。

廉価な種付け料が功を奏して、初年度は163頭の牝馬を集めた。面白いのは、配合面での制約がないにも関らず、サンデー牝馬との配合がわずか3頭しかないこと。アンチサンデー、アンチ社台を貫いて、99頭が凡馬であろうとも1頭の大物を出すタップダンサーを期待したい。

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