勝負どころは淀の坂上
'09新種牡馬外伝 - ザッツザプレンティ
ザッツザプレンティの菊花賞は、春のクラシックや前哨戦の結果を踏まえた文脈で観ると非常に面白いレースだった。禁忌とされる淀の坂上から自ら動き、骨を切らせて肉を断つ我慢比べに持ち込む。ザッツザプレンティのステイヤーとしての天賦とネオユニヴァースらライバルの特質を把握した上で、勝つとすればコレしかないという展開とペースに持ち込んだ安藤勝巳騎手の手練である。
ザッツザプレンティはご存知のとおり、モンスターサイアー*サンデーサイレンスの孫世代の種牡馬だ。孫サイアーはこれまでのところ、フジキセキ産駒のダイタクリーヴァやキタイ、エイシンサンディ産駒のミツアキサイレンス、タヤスツヨシ産駒ナスダックパワー、ダンスインザダーク産駒のツルマルボーイ、ダイタクバートラム、当馬ザッツザプレンティなどが種牡馬入りしている。
ただしその成績で言えば、ダイタクリーヴァがブライティアパルスを出している程度で、コレという産駒は出ていない。どの馬も種付け数が伸びておらず、ツルマルボーイは結果らしい結果が出る前に種牡馬引退に追い込まれてしまった。サンデーのストロングポイントが、代を経ることでボヤけて小粒になっている印象もあるのだろう。
とはいえ昨年もエアトゥーレとディープスカイがサンデー父系の孫として初めて春の牡馬クラシックを勝ったし、本当の勝負はこれからというところだ。
さて、ザッツザプレンティも例に漏れず苦戦中ではある。初年度こそ51頭を集めたが2年目22頭、昨年はわずか5頭。競走馬としてのアイデンティティであったステイヤーとしての資質が、種牡馬としてはやはりプラスには働かないというジレンマに苦しんでいる。
母系はバブルガムフェローやCandy Stripes(Invasorの父)やIntimste(クリテリウムドサンクルー)らが出ている一族で悪くない。母父Miswakiは粘っこい持続性をウリとするミスプロの異端児で、種牡馬のBMSとしてGalileoやDalakhani、Dr Fong といった顔ぶれを出しているところ。芝での瞬発力というイメージではないが、配合次第ではダートで渋い活躍をみせる産駒が出そうだ。まあマーケットブリーダーとしては売りにくい血なのだろうなあ・・
ライバルだったネオユニヴァースは初年度から重賞馬を出して注目を集める人気種牡馬になっている。可能性は低かろうが、もしネオユニ産駒の3冠がかかった菊花賞にザッツ産駒が出走してきたら、ましてその鞍上に安藤勝巳の名があれば、たぶん自分はそのザッツ仔の単勝を買ってしまう。それだけあの菊で見せたステイヤーの資質は印象的だった。
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コメント
こんにちは。ご無沙汰しています。
ザッツザプレンティの現役時代はあまり縁がなかったのですが、一昨年レックススタッドで会った時には、あまりの人懐こさにとても驚きました。
こちらが動くと、柵越しにトコトコついてくるのです。いかにも「遊んでくれ~」と言っているかのようでした。
種牡馬としては苦戦しているようですが、ぜひ産駒には頑張ってほしいです。
投稿: とぅなんて | 2009年2月 7日 (土) 09時59分