一番族の遺産
'09新種牡馬外伝 - ダイタクバートラム
ダイタクといえば80年代から90年代の競馬シーンにおいて個性的な名馬を送り出し続け、私の世代の競馬ファンには非常には印象深い冠名だった。
中でも、ミスナンバイチバンを祖とする「一番族」からは、きまぐれ太陽神ダイタクヘリオスを始め、ダイタクサージャン・ダイタクテイオー・ダイタクカミカゼ・ダイタクリーヴァなどの活躍馬が続出し、「ダイタク」の象徴ともいえる母系となった。
リーヴァの半弟になるダイタクバートラムもそこに名を連ねる1頭である。
ダイタクバートラムはステイヤーズSを勝ち有馬記念や春の天皇賞でも好走するなど、ダンスインザダークの牡駒らしく長距離で結果を残したが、小回り1800の北九州記念でレコードを記録するという一面も併せ持っていた。スピード志向の母系の血にその要因を探すことはできようが、一筋縄ではいかない「ダイタク」らしさ、といった方が案外説得力があったりする。
ところでダイタクバートラムは05年秋のアルゼンチン共和国杯が最後のレースとなったが、同レースにおいて馬主が太陽ファームから別人物に変更となっていた。オーナーが経営する大拓(株)とともに太陽ファームもこのころ経営が行き詰っていたためで、翌06年には150億円以上の負債を抱えて破綻することになる。
当時の報道によると、どうも大拓(株)など関連会社から太陽ファームへの資金流出もあった様子で、公私混同・ずさんな経営の成れの果て、ということになるのだろうか。馬主や牧場経営というものは馬券を買うよりもはるかに「ギャンブル」なわけで、栄枯盛衰というか一寸先は闇ということだろう。
青森の山内牧場で種牡馬を続けていたダイタクヘリオスも、昨年12月に死亡した。一つの時代の終焉を感じざるを得ない。
「ダイタクの遺産」ともいうべきバートラム。予想どおり種付け数は苦戦中であるが、一番族らしい粘り腰と意外性が観られたら、と思うところ。
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コメント
はじめまして、大沢大和です。
今は、現役馬でシャイニーブラウンがいます。母がバートラムの半妹にあたります。今日(3月15日)かてばOP入りになる馬です。あと、地方馬でチャンストウライ(祖母の半兄がダイタクヘリオス)という馬が交流重賞を勝ってます。
投稿: 大沢大和 | 2009年3月15日 (日) 12時37分