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幻想こそが競馬を照らす

'09新種牡馬外伝 - ミスキャスト

闘ったフィールドや残した結果が異なるから単純に比較はできないけれど、トニービンが送り出した牝馬の最高傑作はベガでもエアグルーヴでもなくノースフライトだった、と個人的には思っている。11戦8勝、G1・2勝を含め重賞を6勝。同年の安田記念とマイルCSを制した牝馬はノースフライトだけだし、またスワンSとマイルCSは、サクラバクシンオーとお互いの矜持をぶつけ合うような、実に素晴らしいレースだった。

さて、その名牝ノースフライトの仔として大きな期待を受けながら結局は重賞には手が届かずにキャリアを終えているミスキャストだが、この馬に対する評価があるとすれば、その名血と共に、デビュー2戦目弥生賞と3戦目皐月賞での健闘が底知れない素質馬という印象を与えたからである。

このようにデビュー直後に重賞級で好走すればインパクトが残るのは当然だが、そういう文脈で自分が競馬を始めたころに忘れられない馬がいる。ジュネーブシンボリである。

ジュネーブシンボリは母が*パーソロン牝馬スイートネイティブに父*モガミという、シンボリ牧場が栄華を誇った80年代を象徴する配合の牡駒だった。仕上がりが遅れたのか3歳の春にデビューがずれ込んだジュネーブシンボリは、常識的にはダービー出走など間に合うはずがない。しかし同馬に寄せられた期待の大きさは余程のものであったのだろう、陣営はダービートライアルの青葉賞(当時オープン特別)をデビュー戦に選んだのである。

未出走馬であるジュネーブシンボリを1番人気にしたのは、シンボリルドルフ、シリウスシンボリ、マティリアル・・・・シンボリという名の「幻想」だったのだろう。結局は4着に終わりダービー出走は叶わなかったのだが、まあデビューでオープン戦4着なら十分に立派である。ジュネーブはその後、条件戦を勝ちあがり、オープン特別で2勝。そこそこの素質を証明しつつも重賞は勝てなかったというあたりは、ミスキャストと似ているところだった。

まあ要するに自分は、今でもそうなのだが以前は特に、そういう「幻想」を抱かせてくれるような馬、そうしたちょっと斜め上を行こうとする陣営が好きなのだった。

種牡馬にはなれなかったジュネーブに対してミスキャストは産駒を残すチャンスを得た。数は少ないが、その中から「幻想」を掻き立てるような仔が出るだろうか。

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