時代を跨ぎ、時代を超えて
'09新種牡馬外伝 - クラキングオー
扶桑牧場が繋いでいる*ゲイメセン→ミラーズボーイ→デリケートワンという希少な父系。生産馬の血統表に*ミラーズラス(ミラーズボーイの母)クロスなんてのがあるのを見ると、すごいなと感心するほかにない。同じように、マーケットベースで考えたら、もちろんクラカゲオーなりクラキングオーなりを種牡馬にはできるわけがない。
そこのあるのはこだわりという表現を超え、オーナーブリーダーの執念とでも言うべき想いなのだろう。organaさんの言葉を借りればまさに「マイナー血統ファンの聖地」である倉見牧場のことだ。
さて件のクラキングオー。宝塚記念馬スズカコバン産駒というだけでなく、シングルロマン(*ナイスダンサー!)やオンワードゼア(引退後、改名して復帰させられた名馬)など重ねられた血も十分に渋い。スズカコバン×シングルロマン×オンワードゼア。SS以降の競馬しか知らないファンにすると、このクラキングオーの血統表は、ダビスタ系ゲームに登場する架空の種牡馬のそれに見えてしまうかもしれない。
その唯一の産駒が母クラシャトルのクラキンコ(この名前もツボッた)である。
ちなみにクラキンコは、いわゆる本邦の在来名牝系を多く引いている点も特徴的だ。スズカコバンはスターリングモアを経た*フロリースカップ系だし、オンワードゼアはマンナを経由する*フラストレート系(いずれも小岩井牝系)。
またクラキンコのBMSのワカオライデンは下総御料牧場系の星若を祖としているし、キンコ自身のボトムラインも遡るとこれまた小岩井の*ウエットセールに行き着く。
明治~大正~昭和~平成と、4つの時代の想いを跨いだクラキンコなのである。
それともう一つ。規格外の名馬マルゼンスキーの父系がここまでマイナーとなり、断絶も寸前というのも随分な話だなと。自分が競馬を始める前の名馬でライヴで体感したかったのは、と問われればマルゼンスキーの名を筆頭に挙げる。この馬も時代を超えて語り継ぐべき存在だろう。
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