2番目に好きだった
遥かイギリスまでやってきた谷岡幸一郎の目当ては、*ジェラルディンツウという*パーシア産駒だった。ナッソーS3着という成績を残した牝馬に牧場の基礎牝馬としての期待が高まった。しかし同行していた若きホースマンの熱意に絆されて彼女を譲ることにし、替わりにGrey Sovereignを父に持つ黒鹿毛の牝馬を手に入れることとなる。
それが谷岡牧場と名繁殖牝馬*スワンズウッドグローヴとの出会いだったそうだ。
ご存知のとおり*スワンズウッドグローヴは、サクラ軍団の名馬をあまた輩出するゴッドマザーである。
サクラジョオーの分岐からはサクラハツユキ(エリ杯4着)、サクラセンチュリー(鳴尾記念)、サクラエイコウオー(弥生賞)ら。またサクラセダンからはチヨノオー・ホクトオー兄弟やサクラプレジデントといった活躍馬がターフを沸かせた。*クレアーブリッジ系と並ぶサクラの象徴的なボトムラインと言えよう。
そんな中でサクラグローブの分岐からはサクラを冠した著名馬が出ずにやや地味な印象を否めないわけだが、この”分家”から久々となるオープン馬が、毎日王冠に出走するナムラクレセントである。
ナムラクレセントの母サクラコミナは、このサクラ自慢のスワンズウッド牝系に、トウショウ牧場の*ダンディルート、シンボリ牧場の*パーソロンといったブリーダーたちそれぞれの象徴とも言える血脈を受けたカタチ。さらに父ヤマニンセラフィムもヤマニン牧場の自家生産馬だから、血統表を眺めれば日本のオーナーブリーダーたちの顔がずらり並んでいてある種の感慨を禁じえない。
ウオッカを筆頭に重賞ホースがずらりと顔をそろえた王冠だけに、どこまでやれるのかの試金石となるだろう。
ちなみに谷岡氏の「本命」だった*ジェラルディンツウは目立った繁殖成績を残せなかったが、それでも末裔からダート戦で活躍したトーセンブライトが出ている。
そして彼女を「略奪」したそのホースマンの名を、岡田繁幸という。
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