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方舟

世界中の悪を滅ぼさんと神が起こした大洪水。神の声を聞いたノアとその家族は大きな舟を創り、あらゆる動物のつがいを乗せて40昼夜に及んだ嵐の日々を乗り切った・・

旧約聖書に記された、いわゆる”ノアの方舟"伝説である。

ノアノハコブネは小田切オーナー珍名馬の1頭として挙げられることが多いが、女性名詞である舟をこれぞという幼駒に授けたというから、単なる思い付きというわけでもない。

ノアノハコブネはオークスに出走するまでダートの勝ち鞍しかなく、28頭立ての21番人気というダークホースだった。しかし陣営は勝算を持っていた。出走権利を得るためにダート戦で確勝を期したと後に田中調教師は述懐している。

スタートに難があったハコブネは道中ほぼ最後方を進む。常識的に考えれば勝負にならない位置取りであったが、しかし当時としてはハイペースとなったレース展開と、距離延長が有力馬の多くにマイナス作用したことが波乱を呼ぶ。ゴール直前、大外から一気に先行勢を差しきったのがノアノハコブネなのだった。

秋に復帰したハコブネはローズS、エリザベス女王杯と二桁着順の不振が続き、12月施行だった阪神大章典に駒を進める。挽回を期して臨んだこのレースがしかし、鹿毛の牝馬にとって最後のレースとなるのだった。1周目スタンド前、骨折。予後不良・・・・

オークスを勝つためだけに生まれてきた。そう弔辞を贈る関係者がいたという。

それから24年と言う月日が流れた。ハコブネは自らの血を後世に残すことができなかったが、一世一代のオークスも最後の悲しきレースもその背に跨っていた騎手は後年、名調教師として名を馳せることとなる。音無秀孝調教師だ。

そしてハコブネを産んだユトリロの母*ダラマもまた、アガ・カーン殿下の下で「D」をイニシャルの持つ大河の源流となる。仏ダービー馬Darsi、名マイラーDarjina、仏オークス馬Daryaba。Daryabaの娘Daryakanaは過日の香港ヴァーズをハコブネよろしく大外一気に差しきった。5戦5勝、来年の飛躍が期待される俊英である。

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