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昭和の太陽

何年か前の8月末、夏休みを八ヶ岳の貸し別荘で過ごしたことがあった。特に予定らしい予定も入れず読書や散歩で骨休めしたのだが、そのときに持ち込んで読破したのが山崎豊子の『沈まぬ太陽』だった。

あの物語に織り込まれたスケール感とテーマを映像化するのはかなり難しいだろうと思っていたから、角川が映画化したと聞いて、感心するのと同時に果たして原作の持つ”重み”を上手く表現できているのだろうかと半信半疑ではあった。

結論から言うと、想像よりはよい作品になっていたというのが自分の感想だ。

もちろん20余年の時間軸を1本の映画にするのだから、人間関係の機微や、主人公の砂を噛むような葛藤など、スクリーンで表現しきれていない部分も多々ある。豪華な出演者の中に(個人的には)イメージと合わないキャストもあった。

しかし差別人事に翻弄される主人公、作者が得意とするところの政財界の癒着の構造、ジャンボ機墜落事故、アフリカの自然が放つ生々しい命の輝き・・それらを極端に端折らず重層化し、なおかつギリギリのところで「ただの重苦しい作品」から離陸させているのかなと思う。

休憩を挟んで3時間を越える長尺だが、この作品は最近流行りの3部作などでは良さが半減したと思うから、これはこれでよい。

ちなみに客層は30代から60代、男性や夫婦と思しき2人組が多し。それより下の世代はバックボーンとなっているコテコテな「昭和の常識・昭和の感情」を理解しにくいと思うが、現代風にアレンジしたのでは意味がないから仕方あるまい。

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