逃げ馬と逃げジュマ
Southendさんの労作には随分と懐かしい名前があって、自分が競馬を見始めたころの逃げ馬マイネルヨースだのダイワゲーブルには懐古の念でしばしうっとり。なぜかG1級よりも準オープンあたりに印象的な馬が多いなと。
フロントランナーの括りではイカンガーも好きだった。
といっても世代的に知らない人はキョトンだろうから一応注釈を入れておくと、ジュマ・イカンガーは80年代から90年代にかけて活躍したタンザニアのマラソン選手である。
当時は日本のマラソン界は世界的にも上位入賞の常連で、また瀬古利彦や中山竹通や宗兄弟など、個性的というかキャラが立っていたランナーが多かった。そんな中で日本のレースにもよく出場していたイカンガーは、腕を懸命に振る独特のフォームの持ち主で、集団の後ろで力を温存するなんてタクティクスはクソ喰らえとばかり、常に先頭を切る爆走ランナーだった。
今でこそラビットと呼ばれるペースメーカーが出場することも多いが、イカンガーは本気で逃げて本気で勝ちにくるガチ逃げである。その上最後に絵に描いたような「好位差し」のランナーにトラックで抜かれるという役回りだったから、逃げ馬談義でふと思い出してしまった。
言われてみると競馬もマラソンも、逃げること自体にアイデンティティを見出すかのような逃げ馬(人)が少なくなったなとは。
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