プリモウオモ流浪
新進気鋭のホースマンとして注目されたPatinack Farmのネイサン・ティンクラー氏。2008年のセレクトセールに参入するやディープインパクト産駒などを購買し、我国の馬産界をも賑わしたのはまだ記憶に新しいところだろう。
中でも注目されたのは、父にアグネスタキオンを持ち、母がオークス馬というシルクプリマドンナ07だった。
国内で走ることになれば大きな注目を集めたに違いないこの牡駒はしかし、その後数奇な路を辿る事になる。
プリマドンナ07は同年12月、イギリスに輸出された。当時の報道ではルカ・クマーニ師の下、イギリスで競走生活を送る予定だったようだ。
しかしそれから7ヶ月後。タタソール・ジュライセールに、2歳となったプリマドンナ07が上場される。合田直弘氏もコラムで取り上げたからこのニュースを目にした向きも少なくなかろう。そして結果は・・わずか800ギニーで落札。セレクトセールで6400万の値が付いた良血馬は12~13万円程で取引されたのである。
カタログには”hobday operation”の記載。詳細はわからないが喉に何らかの(それも致命的な)障害があり、ティンクラーに見限られたということだろう。
タタソールでの購買者はMadeline Smith。
この名で検索をかけるとイギリスのタレントが多くヒットするが、おそらく同姓同名の調教師だろうと推察される。というのもプリマ07はその後、イギリスからSmith調教師が本拠を置くスウェーデンへと輸出されているからだ。
馬名はDevil's Drinkという。
遠くスウェーデンでどんな成績を残すのかちょっと面白い、なんて思っていたところだが・・性別がHingstとある。ん?と確認してみればこれは英語でいうStallionという意味だから、どうやら種牡馬としての登録のようなのだ。(語学自信なし、フォローあれば願います)
日本のリーディングサイアーとオークス馬の仔がオーストラリア人に買われ、イギリスに渡り、彼の地でスウェーデン人の手に渡って北欧で種牡馬、つうのも随分な波乱万丈な馬生ではある。
ちなみにスウェーデン馬産と日本のそれとは最近意外とつながりもある。*エイシンダンカークは本邦で供用後にオファーを受けて今はスウェーデンで種付けをしているし、イタリアに輸出された*ピロマティアも2010シーズンから同国に導入された。
漂流の果てにたどり着いた白き地で、プリモウオモは今、何を思うか。
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