ジゼルは彼を許したか
大逃げを打っていたランヘランバとの距離を徐々に縮める手ごたえには、まだ余裕があった。しかし最終飛越でバランスを崩した1番人気のハストラングの走りは突如ぎこちなくなり、4コーナーでダートコースへと逸走して競走中止となった。
土曜日の春麗ジャンプステークスである。
西谷騎手のコメントではハミがズレて制御が効かなくなったとのことで、故障などではなかったようだ。
障害の逸走で思い出した話がある。
ある障害レースの直線の出来事。勝利を目指して直線叩き合っていた馬と騎手たちはおそらく目を疑っただろう、ゴール側から1頭の馬が自分たち目掛けて突っ走ってくたのだ。飛越で落馬し彷徨っていたカラ馬が行き場を失い、1コーナー側から逆走してきたのだ。何頭かの馬と騎手は上手く避けたものの星野忍騎手が繰る馬は避け切れずに正面衝突、大怪我を負った2頭とも予後不良という悲劇になった。
これは生前の父からアウトラインを聞いた逸話で、馬名なども記憶になかったが、後年調べてみると昭和51年府中での出来事だった。逸走した馬はゼノンブイ、衝突された馬はアルブレヒトという。
ところでアルブレヒトという馬名は実は最近2代目がいた。父ダンスインザダーク、母がオークス馬のシルクプリマドンナという名血。サンデーレーシングで5000万円という募集価格が期待の大きさを物語ろう。
入厩を目指しトレーニングを積んでいたアルブレヒトはしかし、ノーザンファームでの調教中に右前脚を骨折。その程度は重く、社台グループの力をしても助けることはできなかった・・2代目の運命もまた、悲しい幕切れを迎えたのである。
| 固定リンク
「馬*その他」カテゴリの記事
- 歴史を伝えるもの(2022.09.04)
- 108年後の帰還(2021.09.18)
- Superb in Rosesの謎(2019.02.23)
- 星明かりは見えずとも(2)(2019.01.04)
- 星明かりは見えずとも(1)(2019.01.03)
コメント
障害の逸走といえば、一昨年の中山大障害でのマルカラスカルを思い出しますね。
あの時は逸走しかかったものの軌道修正して5着完走し、負けて強しと思わせました。
そしてあの時も西谷騎手でした。
ハストラングも、あのまま逆走して正規のルートに復帰すれば、競走は成立していたんですよね。
進路を間違えながら完走した例も、探せばあるのかもしれませんね。
投稿: マズルウィン | 2010年2月 7日 (日) 11時41分
どうもです。
平地もですが、障害戦は特に「全馬無事に」って思いますね。その上で馬券が当たれば文句なしですが・・
投稿: りろんち | 2010年2月 8日 (月) 21時06分