« 晩夏の風 | トップページ | カモが一体誰なのか »

デルマーに注ぐ陽光

初めての芝という不安要素は杞憂に終わった。
過日のLa Jolla H(芝8.5f・G2)を圧倒的な速力で駆け抜けてデルマーのコースレコードをマークしたSidney's Candy。ケンタッキーダービー大敗からの巻き返しは、5ハロンを57秒台(推定)のハイペースで後続を圧倒する、それは鮮烈なものだった。

Sidney's Candyはクレイグファミリーの持ち馬だ。

シドニー・クレイグはカリフォルニア州立大を卒業後、ダンススクールの講師などを経て女性向けのフィットネスサロンを経営。これを全国200店舗にまで育てたのちに売却し、今度はオーストラリアでダイエットプログラムを開発する「Jenny Craig weight-loss company」を立ち上げた。ジェニーというのは、シドニーの再婚相手である。

この会社も大成功を収め、アメリカではデルマーに本拠を置いた(後にネスレに売却される)。競走馬の所有も始めたクレイグ夫妻は、デルマー競馬場をホームグラウンドに多くの名馬に関ることになる。

例えばPaseana。アルゼンチンでの活躍を見初めてこれを手に入れたシドニーは、アメリカで彼女を走らせてBCディスタフ(G1)に勝った。

例えばCandy Ride。同じくアルゼンチンからトレードし、パシフィッククラシック(G1)を勝利している。同馬がSidney's Candyの父となる。

例えばExchange。サンタアニタH(G1)やメイトリアークS(G1)を勝つなど息の長い活躍をした牝馬だ。Exchangeは産駒を1頭しか残せなかったが、その一粒種Fair ExchangeがSidney's Candyの母となった。

また*ドクターデヴィアスもこの夫婦の愛馬だった。無理やり渡米させた感満載のケンタッキーダービーこそ勝てなかったが、その後に英ダービーを獲り、引退後は日本でも種牡馬生活を送っている。デヴィアスは、ダービーの勝利を夢見ていた夫の60歳の誕生日に、妻ジェニーがプレゼントしたというスケースの大きい話である。

またその意趣返しとして5年後の1997年、シドニーは妻に内緒でVoyagers Questを購入してジョッケクルブ(仏ダービー)に出走させた。ジェニーはプログラムを見るまで自分が馬主であることを知らなかった、そうだ。

チャリティにも熱心で、誰からも愛されたというシドニー・クレイグは既に2008年、惜しまれつつ他界している。彼の名を冠したけれんのない快速ホースに、カリフォルニアの明るい陽光はよく似合う。

La Jolla H 映像はこちら

|

« 晩夏の風 | トップページ | カモが一体誰なのか »

馬*海外」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/223066/49209514

この記事へのトラックバック一覧です: デルマーに注ぐ陽光:

« 晩夏の風 | トップページ | カモが一体誰なのか »