傑作は空に還った
映画「Secretariat」がアメリカで公開されている。今なお語り継がれる名馬Secretariatとそのブリーダーだったペニー・チェナリーを題材とした映画で、まあ自分としてはシービスよりは興味はあるのだが、今のところ本邦での公開は予定されていないようだ。
Secretariatの現役時代はもちろん観ていないが、その晩年の産駒はぎりぎりリアルタイムで接している。豪快な追い込みで重賞を勝った*ヒシマサルが代表格として、個人的に最も印象深いのはオンエアーだろうか。
オンエアーは社台の持込馬で、吉田善哉氏がオーナーだった。91年秋の府中でデビュー勝ちを収めると、2度の敗戦を挟みつつ、暮れのひいらぎ賞で差し切りを決めて2勝目。その鮮烈さからクラシック候補として名を挙げる者も少なくなかったし、私も大物として認識したのを覚えている。
しかし年が明けて臨んだ京成杯、オンエアーは唐突に競走生活の終わりを迎える。レース中に故障を発症し、予後不良となったのだった。
二本柳俊夫調教師と杉浦騎手のコンビといえば、このオンエアーを始めとしてゴルギアスやガレオンなど、底知れない魅力を感じさせながらも大成を果たせなかった馬たちの名が浮かんでくる。
オンエアーは父Secretariatに加え、ヴァニティHなどのG1タイトルを持ち最優秀2歳牝馬に輝いたIt's in the Airを祖母に持っていた良血。同時期ボールドルーラー父系にかなり注目をしていたと推測される吉田善哉氏だけに、この馬に対する期待もそれは大きかったのではないか。
過日レパーズタウンのキラヴランS(G3)を勝ったDubai Princeの母は、祖母がIt's in the Airで、ボールドルーラー系×ノーザンダンサー系。どこかで見たことのあるデジャヴを感じて調べたらオンエアーだったというわけで、それがこのエントリの萌芽だったの巻。
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