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砂王が刻んだ光と影

久しぶりにその当時のカタログを引っ張り出した。

76ページ、黒鹿毛のやや無骨な幼駒の写真はキャサリーンパーの03。後にJCDを勝利するアロンダイトの募集時の姿だ。

今となってはアロンダイトに出資した明確な理由は思い出せない。

3代母も2代母も欧州クラシック勝ち馬であり、またNasrullah≒Malindiの全兄妹クロスもある母系が、なんちゃって血統好きには魅力的に見えたのかもしれない。

ひとつ確かなのは、好きだった*エルコンドルパサーの仔を持ちたいという気持ちがあったことだ。

JCDは、府中のゴール前200mあたりにいた私の目の前で先頭に立った。柵を素手で叩き続けたらしく、気がついたら掌から血が滲んでいた。何を叫んだか覚えてないけれど声も枯れていた。

国際G1勝利。最優秀ダートホース・・言葉にできない喜びと幸福感を与えてくれたその戴冠の輝きはもちろん忘れえない。忘れないのだけれど、むしろアロンダイトを思い返すとき、その後の故障との闘いの日々の陰影こそが、自分には深く刻まれている。

JCDの後、調整していた山元トレセンで発覚した左球節骨折。
9月にシリウスSで復帰したものの、左第一指骨骨折。
6歳で戦列に戻り、東海Sで2着するなどまだ重賞でも戦えることを証明した。
しかしその年の暮には右後肢に深屈腱炎を発症、戦線離脱。

雌伏の日々を経て8歳となった今年。復帰に向け山元トレセンを発ったのが3月11日、震災当日である。その後ノーザンファームしがらきを経由しトレセン入厩までこぎ着けたものの、左前の繋靭帯に不安発症。ついに引退となった。

引き際を誤った、という見方もあるかもしれない。
ただ私は、タイトルホースだけに半端な仕上げは許容されないプレッシャーの中で、この大柄な黒鹿毛馬の調整をただひたすら我慢強く続けた関係者の労苦を思うとき、感謝の言葉しか浮かんでこない。

そしてアロンダイトには、あまりに月並みだが「ありがとう、おつかれさま」。

「砂王」の化粧箱に入ったペアのマグカップはJCD勝利の記念品。その無骨さがアロンダイトらしくて、寂しいけれど、優しい気持ちになる。

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