黒い閃光
先週ダーレーから、Lonhroが来春からアメリカにシャトルされるとの発表があった。シャトル種牡馬など目新しくもないトピックではあるが、オセアニアに育ったビッグネームとなるとこれまでは例のなかった試みだ。
LonhroはSir Tristram→Zabeel→Octagonalとオーストラリア/ニュージーランドにおいて独自の発展を遂げてきた父系になる。
1971年に生まれたSir Ivor産駒のSir Tristramは、英愛米で競走生活を送ったものの目立った成績を残したわけではない。しかしニュージーランドで種牡馬となったSir Tristramはオーストラリアで7度リーディングとなり、140頭を超えるステークス勝ち馬、45頭のG1馬を出す南半球の巨星となった。
Sir Tristram産駒の中で最もサイアーとして成功した後継がZabeel。さらにそこからコックスプレートなどG1を10勝したOctagonalという大物が出た。
Octagonalの初年度産駒Lonhroは、"The Black Flash"というニックネームで呼ばれた黒鹿毛の快速馬だった。コーフィールドギニーやマッキノンSなどG1を11勝し、引退後は父と同じWoodlands Studで種牡馬になった。そして早くも10/11シーズンにはオーストラリアのリーディングサイアーとなっている。
90年代以降のシャトル時代、特にDanehillを中心とした新勢力にStar KingdamやBetter Boyなどのオセアニアに根付いていた父系が刷新されていく中、これだけ枝を伸ばし続ける生命力はさすがといえよう。
我が国でいえば*ノーザンテースト→アンバーシャダイ→メジロライアン→メジロブライトと繋がった父系からサンデー系を抑えてリーディングサイアーが出ている・・と例えていたらちょっと違う気がしてきたが・・まあSir Tristramは*ノーザンテーストと同い年なのである。
さて、そのLonhroはダーレー参加に入っており、この度北米へとシャトルされることになった。True NicksのHPは、G1でライバル馬に騎乗していたジム・キャシディ騎手の「アレは化物だよ。唸りながら抜いていく馬なんて初めてだった」というコメントを引きつつLonhroを紹介している。
また同サイトは、血統面におけるDanehill牝馬との相性の良さを取り上げている。
これを敷衍して、Danzig‐His Majesty‐Buckpasserという組み合わせを持つ牝馬、あるいはDanzigを持つフサペガの牝馬といったアメリカに多いであろう繁殖の相手として、Lonhroは非常に有望ではないかという見解のようだ。
まあそれを言うならサンデーが入った牝馬ともなかなか合いそうだからダーレージャパンに来ても面白いんじゃ、などとは思うのだが。いずれにせよSir Ivor父系はこれ以外ほぼ断絶に近い状況にあり、南で燃え続けたその松明が再興の炎となるのか注目したい。
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