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Good bye,Lovely Girl.

今は既に資本が入れ替わってしまったが、80年代後半に台頭した当時の大樹ファームは、競走馬資源の多くを海外に求めていた新進の馬主だった。

大樹は、牝馬ながらにしてケンタッキーダービーを制したGenuine Riskを見出したファイアーストーン夫妻からも多くの幼駒を購入しており、その中の1頭は藤澤調教師の仲介もあって「シンコウ」の安田オーナーに譲られることになる。そのCaerleon産駒の牝馬が後の*シンコウラブリイである。

*シンコウラブリイは有り余るスピードで93年のマイルCSを制し、後のCaerleonブームの嚆矢ともなった名馬だ。しかし岡部騎手を背にした優等生然としたレース振りで、情念を揺さぶるような名勝負とも縁遠かったことから、意外とその存在感は薄いようで、例えばJRAの<20世紀の名馬100>においても選外となっている。ファンとしては忸怩たる思いもある。

とはいえ90年代初頭の「サンデー以前」から競馬にコミットしている世代にとって、藤澤和雄調教師の象徴として*シンコウラブリイの名は忘れがたい。

現在の2歳秋にデビューしてから引退まで「シーズン3戦」というローテーションが維持された。決して背伸びをせず最も適性を示したマイル路線を闘い、しかしチャンスとみれば連闘策をも辞さなかった。

最後となった4歳秋。毎日王冠→スワンS→マイルCSとあまりに鮮やかな3連勝、しかし未練を残さずに風のように現役を引退していった。今でも藤澤厩舎といえば*シンコウラブリイなのである。

黒一色という勝負服の印象ゆえか、それまでに類のない足跡を残したためか、ラブリイは孤独の愁いを漂わせていた。どこか寂しげな、しかし凛とした芯の強さを秘めた天才少女に自分は惹かれていた。

ラストランのマイルCSの直線、豪雨の中で抜け出してきた彼女に何かを叫ぼうとしたのに、胸が詰まって言葉が出てこなかったのも、今ではいい思い出だ。

ラブリイは繁殖としても活躍馬を送り出し、その枝葉は現在も広がりを見せている。

さようなら、愛しき*シンコウラブリイ。

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