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2013年1月

勝負師の色気

アンカツこと安藤勝己騎手が、1月末をもって騎手免許を返上し、引退することが発表された。

ここ数年は騎乗数を減らしていたから予測はしていたことだが、これでお気に入りの騎手がまたひとりいなくなる寂しさは残る。

もちろんオグリキャップのパートナーとして笠松の名手の名は知っていたけれど、ライデンリーダーとのコンビでJRA勢を撫で斬りにしたときは、ものすごい衝撃を受けた。その後JRAの移籍して幾多の名勝負を演じたのは周知のとおりだが、全盛時の武豊が見せたしなやかな騎乗とも、後に活躍するペリエやスミヨン、ルメールら外国人騎手とも質を異にする、勝負師の色気を感じるのがアンカツだった。普段は飄々と、あるいは泰然としていながらも、騎乗では安全策を是とせず変幻自在。稀有な乗り手だった。

先のライデンリーダー始め、ブエナビスタやマルセリーナ、ダノンシャンティなど鮮やかな差しきりも印象深いが、個人的には先行して「肉を切らせながら骨を断つ」騎乗こそが、アンカツの魅力だったと思っている。ダスカ&ダイワメジャーもそうだし、ベストレースを選ぶとしたらザッツザプレンティの菊花賞だろうか。二冠馬ネオユニヴァースを相手に、ここしか無いというポイントでのロングスパートで押し切った騎乗は、あたかも真剣を構えて相手との間合いを測り、勝負どころで一気に踏み込むと間一髪で斬り勝ったような、そんな凄みを感じたものだった。

英語のツイートでHistory-Makerという形容があったように、地方騎手がJRAへ移籍する際のルールを変えるきっかけとなるなど、まさに時代を切り拓いてきた。今後の進路はまだ明らかにされていないが、まずはお疲れ様と。

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最終レース小噺

日曜の中京最終レースはケルンフォーティーが軽ハンデを利して逃げ切った。未勝利馬が1000万条件戦を勝ったのはおそらくレディブロンド以来で、これはこれでレアな話なのだが、ケルンの3代母がリンデンリリーというところでむしろ驚くのは、競馬歴が長くなった証拠でもあろう。

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「起こらなかったこと」のジャッジ

AJCCはアドマイヤラクティから買っていたから1着と2着が逆になっても馬券には何の影響もなかったわけだが、正直なところ、入線順位の通りに確定したのはかなり意外な印象を受けた。

Twitterの自分のTLには、怒りをあらわにした発言からルールはどうでもいいという意見まで、様々な見解が並んでいた。

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ポプラがある風景

原産地の違いや改良によって様々な品種があるようだが、ヤナギの仲間であるポプラはいずれも枝が細く、ゆらゆらと揺れやすいのが特徴である。“tremble like an aspen leaves(ポプラのようにブルブル震える)”というイディオムもその姿から来ているのだろう。

すっかり冷たくなった風に枝はそよぎ、茜色の空を背景に、そこかしこで葉はサラサラと音を奏でている ー 生産者のRoeblingがどのような意味を与えたのかわからないが、自分が名牝Fall Aspenに抱くイメージは、そんな秋と冬との間に訪れる静謐な風景だったりする。

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130の宝石

馬伝染性貧血の余波で凱旋門賞への出走が叶わず、そのまま引退することとなった*デインドリーム。ドイツに根付いた牝系から生まれた馬ではないにしても、関係者にとってこれまでの日々が何物にも替えがたい素晴らしいものだったことは、去りゆく名牝との別れを伝えるこの記事と写真を観ても明白だろう。

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忘れえぬ花

金杯が土日に行われたのはいつ以来か定かではないが、しばらくは仕事と重なっていた記憶があり、リアルタイムで観戦したのは久方ぶりの気がする。
中山金杯はタッチミーノットがトップハンデを課せられながらの完勝で、明け7歳となった今年も活躍が期待されるところだろう。

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