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ポプラがある風景

原産地の違いや改良によって様々な品種があるようだが、ヤナギの仲間であるポプラはいずれも枝が細く、ゆらゆらと揺れやすいのが特徴である。“tremble like an aspen leaves(ポプラのようにブルブル震える)”というイディオムもその姿から来ているのだろう。

すっかり冷たくなった風に枝はそよぎ、茜色の空を背景に、そこかしこで葉はサラサラと音を奏でている ー 生産者のRoeblingがどのような意味を与えたのかわからないが、自分が名牝Fall Aspenに抱くイメージは、そんな秋と冬との間に訪れる静謐な風景だったりする。

秋のポプラことFall Aspenは、ご存知*ティンバーカントリーを筆頭にHamas、Fortwood、BianconiのG1馬4頭を産んだだけでなく、出走した13頭の産駒がすべて勝ちあがり、9頭がステークスウイナーという成績を残した素晴らしい繁殖である。直仔のみならず、孫世代にもあのDubai Millennium(ドバイWC)やCharnwood Forest(クインアンS)が出ているし、これ以降も本邦の桜花賞馬レジネッタを始め、活躍馬は途切れることを知らない。

6番仔にあたる1987年生まれの牝馬はDance of Leavesと名付けられた。これは父Saddler’s Wellsの意匠を汲みつつ、ポプラの優雅な落葉風景を詠んだ秀逸な馬名だと思う。Dance of Leaves自身は競走馬としては走っていないものの、先のCharnwood Forestや、Medaaly(レーシングポストT)の母となっている。

*オータムメロディーはそのDance of leavsが2002年に産んだ牝馬で、父Kingmamboに「落葉の舞い」で「秋の旋律」というのもなかなかの流れだろう。Saddler’s Wells≒Nureyevの2×3という重しを効かせた*オータムメロディーはイギリスで走った後に日本に輸入され、ダーレージャパンで繁殖牝馬生活を送っている。

*オータムメロディーもまたFall Aspenらしく、資質の高さを伝えつつ受け口の広さを併せ持った牝馬のようだ。2008年産のピクシープリンセスはディープらしさを垣間見せる末脚で昨年おエリザベス女王杯で3着に善戦し、2009年生まれのアドマイヤムーン産駒ジョヴァンニは、先日の五条坂特別を圧勝し、これでダート転身後に底の見えない3連勝となった。

アドマイヤムーン産駒は仕上がりの早さや芝での切れを持ち味とすることが多く、ジョヴァンニはどちらかというと母が持つヌレサドの重量というか力感が活かされたように個人的には思えていて、FA好きとしても今後しばらくはウオッチしていきたい一頭である。

ポプラの枝葉が風に吹かれて揺れるのは、弱いからではなく、しなやかだからこそ、だろう。Fall Aspenはしなやかに世界中へと枝を広げて、その葉の音を鳴らし続けている。

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