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2013年2月

プチャーチンの黄金の馬(下)

老人と再開したのはそれから半月ほど経った寒い日だった。やっかいな仕事を片付け重い足取りで帰路についた私は、BERGの前で見覚えのある後ろ姿を見つけたのだった。

みぞれが降る天候のせいか、前回ほどは混雑してはいない。コートを脱ぎカウンターで再会に乾杯すると、挨拶代わりに先週の競馬の戦果などをお互い報告しあった。京都のメインで万馬券を取ったという爺のオーダーは相変わらず黒ビールだ。

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プチャーチンの黄金の馬(中)

“プチャーチンの黄金の馬”とは一体何のことだろうか?

幕末に来日したロシア人。

プチャーチンという名にその程度の知識しかなかった私には皆目見当がつかない。しかしベレー帽の老人が残した謎の言葉になぜか興味を惹かれ、少々調べてみることにしたのだった。

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プチャーチンの黄金の馬(上)

いまだ猛暑の名残りを温い空気に残しながらも、頬を撫でる風には季節の移り変わりを感じる初秋の宵だった。新宿駅のBERGはこの日も混み合っていて、一人分空いたカウンターの隙間に身を潜り込ませると、私はグラスのビールで喉を潤した。

とその時、隣に立っている男性が競馬専門紙を眺めていることに気づいた。金曜日の19時、珍しい光景ではない。しかし奇妙なことに紙面は週末の出馬(でんま)表ではなく、ちょうど4年前のスプリンターズステークスのそれだったのである。私は妙に気になって横顔に目をやった。ベレー帽を被った老人だった。

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