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メイショウの流儀

ダービーという大一番を目前にしてその最有力馬のオーナーが変わったのだから、それは事件だった。

九州の大馬主・上田清次郎が、2500万とも噂される大枚をはたいてダイコーターを買ったのだ。ダービーの優勝賞金が1000万円の時代に、である。

「金でダービーを買えるのか」という問いは、そのまま金で未来を、夢を、人生を買えるのか、といった命題に姿を変える。
当時の競馬ファンの間ではそれは喧々囂々の議論が飛んだことだろう。

結局のところダイコーターはキーストンに逃げ切りを許して2着に甘んじ、アンチ上田の向きは溜飲を下げることになった。

ダイコーターの敗戦は一つのレースの結果であって、上田氏の手法が敗戦の因となったわけではないだろう。しかしダービーがどれだけの魔力と磁力を孕んだレースであるかを饒舌に物語る逸話である。そして数多くの名馬を擁した上田一族は結局、その後もダービーを勝つことは出来なかった。

ところでダイコーターの母は*ダイアンケーというアメリカ産の快速馬だったが、そこから7代を経て生まれたのが、先のオークスを勝ったメイショウマンボだった。*ジェイドロバリー≒*スプリングマンボという鮮烈なニアリーを持つメイショウマンボが、騎手にもオーナーにも初めての牝馬クラシックもたらした。ベテラン飯田師に至っては1989年に開業してからの、初のG1勝ちである。

父も母も「メイショウ」の馬。騎手は子供の頃から可愛がっていたという武幸四郎。

「人がいて、馬がいて、そしてまた人がいる」

松本好雄オーナーの座右の銘をまさに具現化したと言うと出来過ぎではあるが、ダイコーターのエピソードを彼岸に対置したくもなるような勝利だった。

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コメント

こんにちは、いつも興味深く読ませていただいてます。

人情的なエピソードにはあまり興味ないんですが、ここ数年不遇&不運続きだった武幸四郎騎手の涙にはグッとくるものがありました。

ところでメイショウマンボ、父親はメイショウじゃなくてスズカマンボですよ。

投稿: | 2013年5月22日 (水) 00時42分

今年のGIはまさに
人がいて馬がいてそしてまた人がいる
フミノイマージンと大宰
メイショウと飯田厩舎と幸四郎
マイネルと柴田大知

タービーはきづな的結果ですかね!

ダイコーターの金ではダービーは絶対に買えない
これがまたこのダービーで際立ちますね!
毎日勉強になります。

投稿: チャーリー | 2013年5月22日 (水) 22時07分

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