その栄光を再び
社台、ノーザン、追分、白老の4牧場合計で1,400頭近い繁殖牝馬を掲載しているから、社台グループの繁殖牝馬名簿がもはや分厚い辞書の趣になるのは仕方ない。これをペラペラとめくっては過去を思い出し、また色々と妄想をふくらませるという使い方が正しいかどうかはともかく、眠れない夜や気分を変えたいときにはうってつけ、だったりする。
そんなわけで、今日は今年の繁殖名簿を適当に開いたページの牝馬から、何か書いてみよう。
*スターベゴニア(95年産・父Sadler’s Wells)
この牝馬のブラックタイプでまず見覚えがあるのは、*アドマイヤカイザーということになろう。*アドマイヤカイザーは*スターベゴニアの1歳下の半弟である。
*アドマイヤカイザーはRainbow Quest産駒で、96年生まれだから同期のダービー馬は同じ馬主のアドマイヤベガであり、つまりテイエムオペラオーやナリタトップロードと同期だった。
3歳5月に初勝利をあげると、ラジオたんぱ賞(G3)で2着。秋にはマイルチャンピオンシップに挑戦してエアジハードの4着に善戦している。その後は今ひとつ勝ち切ることができないキャラにとなったカイザーは4歳時未勝利に終わり、結局重賞勝ちは5歳時のエプソムカップのみだった。通算成績は26戦4勝である。
重厚さ漂う血統と力強い末脚で、3歳時には中距離路線のトップを張る存在になると個人的には思っていたが、今ひとつ伸びあぐねるあたりが本邦におけるBlushing Groom系のオチ、ということだろうか。
ちなみにカイザーの半兄(*スターベゴニアの全兄)には、種牡馬となったPoligloteがいるが、母系を遡るとこの他にもヨーロッパで活躍した馬たちの名が多くみられる。
例えば*スターベゴニアの祖母Apacheeからはジョッキークラブ大賞(伊G1)のAntheusや、ガネー賞(仏G1)のIndian Danehillが出ている。
また3代母のAmericaineは、仏1000ギニーを勝ちフランスオークスでも2着したAryenneの母となった。さらにそのAryenneは、Rainbow Questとの間に英ダービー馬となった*クエストフォーフェイムを産んでいる。
まあおそらく、*アドマイヤカイザーはAmericaineにVal de l'OrneとRainbow Questを配して、*クエストフォーフェイムの再現を狙った「もう一度その栄光を」の配合だったのだろう。
さて、話を*スターベゴニアに戻すと、彼女は日本に来る前にFive Dynastiesという重賞馬(キングエドワード7世S)を産んでいる。残念ながら輸入後は流産や生後直死、不受胎などもあり活躍馬には恵まれていないが、ポテンシャルは確かなだけに、まだ期待はできるだろう。13年産は父マンハッタンカフェの牡馬である。
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