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追加の8牝系(その4)

ということで今回で追加の8牝系終了。総括的なものは次のエントリで。

【ケンタッキー】

栗林友二氏は、戦時下で変則三冠馬となったクリフジやダービー馬クリノハナなど多くの著名馬を所有し、息子の秀雄氏もライスシャワーのオーナーとして知られている。大東牧場とユートピア牧場を経営した栗林家はオーナーブリーダーのさきがけとも言われる大馬主だ。

その栗林家の屋台骨となった1頭が、ケンタッキーだった。祖母の*セレタがイギリスから導入され、母のテツバンザイは阪神優駿牝馬(オークスに相当)を勝って大東牧場で繁殖入り。そこから「クリ軍団」が広がっていった。

60年代にはケンタッキーの直仔クリペロとクリヒデが兄妹で天皇賞を制覇。クリアヤメも重賞を勝った。クリイワイやクリケントは70年代前半に活躍し、大井で重賞を勝ちまくったカツアールが中央入りして宝塚記念を勝ったのは81年である。その後もロシアンブルーやクリロータリー、マロングラッセ、ベルベットグローブが重賞を勝利し、90年代に入っても才媛ローブモンタントが桜花賞で1番人気に推されている(結果はオグリローマンの3着)。

栗林家以外の馬では、クリホマレ~クリツヒメからダイセキテイやニシノライデンが出た。ニシノライデンは、朝日CCで1位入線失格、天皇賞(春)も2位入線失格などの斜行を繰り返し、「降着制度の産みの親」とも言われるクセ馬だった。この他にも重賞の勝ち馬は様々なラインで散見される。

概観すると中長距離で活躍した馬たちが多く、スピード化の進展で勢いを失いつつある牝系だが、一方で90年代以降、2頭のチャンピオンスプリンターを輩出しているのは興味深い。ダイタクヤマトは人気薄でスプリンターズSを逃げ切り、開業間もない石坂調教師に初重賞をプレゼントした。また今世紀に入って高松宮記念とスプリンターズSを制覇したローレルゲレイロは天皇賞馬クリヒデの末裔で、村田牧場が見事な配合により生み出した快速馬である。

この*セレタ~ケンタッキーと*アイリッシュアイズ(クリノハナやライスシャワーの牝祖)の2頭が、栗林親子の下で本邦競馬史に貢献した功績は小さからぬものがあろう。
あえて枝葉が広がりすぎてまとめにくい「ケンタッキー」で牝系を括り、選出したのは、栗林家(大東牧場・ユートピア牧場)と、この牝系への敬意でもある。

 

ケンタッキー 1947
|クリホマレ
||クリホマレの壱
|||イチコ(クイーンC)
||||アンセルモ(クイーンS)
||||ティーアップ
|||||オギティファニー(ダービー卿CT)
|||ニューエビアン
||||ルバンドベール
|||||フライトピア(ラジオたんぱ賞3着)
||||ゲイルシアン
|||||ゲイリーランサー(京都4歳特別3着)
|||フジリンデン(北九州記念)
|||シーエンゼル
||||シーエコー
|||||シーキャリアー(七夕賞)
||クリツヒメ
|||クリアトム
||||クリノビユティ
|||||ロシアンブルー(新潟記念)
|||||クリナイン
||||||ローブモンタント(阪神牝馬S2着、桜花賞3着)
|||クリロット
||||ミスホマレシロー
|||||ニシノライデン(産経大阪杯、有馬記念3着)
||クリマサル
|||クリチハヤ
||||クリチハヤノニ
|||||ダイセキテイ(目黒記念)
||クリマロン
|||クリコスモ
||||サニーライト(スプリングS)
||||クリローターリー(アルゼンチン共和国杯)
|||フアットウィーゼル
||||ベルベットグローブ(フェブラリーS)
|クリペロ(天皇賞(春)他15勝)
|クリスミレ
||クリハード
|||マルサンチヨクイン
||||ホリノチヨクイン
|||||タヤスアゲイン(青葉賞)
|||サクラハード
||||ホリノセレタ
|||||アマノトレンディー(アーリントンC3着)
||ダイタクブレインズ
|||ダイタクヤマト(スプリンターズS)
|クリヒデ(天皇賞(秋))
||クリアヤメ(カブトヤマ記念)
|||ビッグディザイヤー(北海道3S)
||クリケント(中山牝馬S)
|||クリエイゲツ
||||ローズムーン(中山大障害(秋))
||クリイワイ(金杯(東))
||クリシスコ
|||スダシスコ
||||ヒットパーク(道営記念)
||クリトキワ
|||イエローストーン
||||シャートストーン(京成杯3歳S2着)
||||ロードモンタナ(JRA6連勝)
||ポイントメーカー
|||モガミポイント
||||モガミヒメ
|||||ビッグテンビー
||||||ローレルゲレイロ(高松宮記念、スプリンターズS)
|ケンタッキーの七
||カチナロン
|||カツアール(宝塚記念、帝王賞、天皇賞(春)2着)
|クリベイ(函館記念)
|クリミナト
||クリレモン
|||ビザンスター
||||アラシ(福島記念)
|||ビコーアルファー(富士S)
||カツミナト
|||ビーフリー
||||マロングラッセ(金鯱賞)

 


【Barely Even】

最後はBarely Even。

日本では何と言っても牝馬3冠を達成したスティルインラブの牝系ということになろう。下河辺牧場が導入した*ブラダマンテはスティルインラブの他にもビッグバイアモンを産み、孫にもザタイキやアズマシャトルを出して枝を広げている最中だ。また*ブラダマンテの姪にあたる*ローブデコルテは前田幸治氏が輸入し、初めて外国産馬としてオークスを勝った。

Alyshebaらしい豪快さで900万、1500万条件をいずれも大差勝ちした*キョウワアリシバや、2012年のウッドメモリアルSを制したGemologistらも、*ブラダマンテと同じSulemeifに遡上する一族になる。

Golden Highlightsの牝系はアメリカやイタリアでポツポツと重賞馬を出し、フリゼットSで2着した*アロングザシーは社台ファームに入っている。

Barely Evenの仔でG1(オークリーフS)を勝った*ワンオブアクラインは、1992年にヤマニン牧場が輸入した。ここから広がるヤマニン軍団からはオープンまで出世したリボルバー、重賞入着のザナドゥあたりが健闘したものの、大きなところには手が届いていない。ただし孫の代でもエマイユやパピオネ、ボワラクテなどコンスタントに走っている。

残念なのは、両オークス馬の早世だ。ノースヒルズで繁殖入りした*ローブデコルテは3番仔の出産時に膀胱破裂で死亡している。残された2頭の牝馬が後継としてどこまでやれるか。
メジロラモーヌ以来の牝馬3冠を成したスティルインラブも*キングカメハメハの仔を出産した後の2007年夏、腸重積を患ってその短い生涯を閉じた。スティルインラブが残したのは牡駒で、残念ながら母系を紡ぐことは叶わなくなっている。

他方、2頭のオークス馬を輩出したことでこの系統への期待は膨らみ、*カリズマティックゴールドや*ゴーカロライナ、*アロングザシーといった繁殖も次々に輸入されている。Sulemeifと*ワンオブアクラインの両系統を中心として、まだまだ本邦での発展が望める牝系であろう。

 

Barely Even 1969
|Golden Highlights
||Fariedah
|||Western Fame(フィラデルフィアパークBCH、種牡馬)
|||West Sider
||||Sixtyone Margaux
|||||*オーセロワ(5勝)
|||Silver Scream(イートンタウンH)
||Rozala
|||Russian Flight(シャーリージョーンズH2着)
||||*アロングザシー(フリゼットS2着)
|||Royal Hawk
||||Adamantina(ドルメロ賞)
|Sulemeif(スワニーリヴァーH)
||*ブラダマンテ
|||ビッグバイアモン(ラジオたんぱ賞)
|||ブレッシング
||||ピサノパテック(UHB杯、セントライト記念3着)
||||アズマシャトル(ラジオNIKKEI賞2歳S2着)
|||フローラルレディ
||||ザタイキ(アーリントンC2着)
|||スティルインラブ(牝馬3冠)
||Freelancer(種牡馬)
||Withallprobability(ボニーミスS、ケンタッキーオークス2着)
|||Probable Colony
||||Summer Colony(パーソナルエンスンH)
||With Ability(ネクストムーヴH)
||*キョウワアリシバ(朝日CC3着、種牡馬)
||Crystal Shard
|||Gemologist(ウッドメモリアルS)
||Color of Gold
|||*カリズマティックゴールド
||||ベルライン(3勝)
|||*ローブデコルテ(オークス)
|||*クリニエルドゥオル
||*ゴーカロライナ
|||ダノンプリマドンナ(3勝)
|Bare Minimun(サンパスカルH)
|*ワンオブアクライン(オークリーフS)
||Wooden Ticket(レイザーバックH3着)
||ヤマニンリボルバー(6勝)
||ヤマニンザナドゥ(報知杯4歳牝馬特別3着)
|||ヤマニンエマイユ(オーロC)
||ヤマニンメルティ
|||ヤマニンパピオネ(4勝)
||ヤマニンカルフール
|||ヤマニンボワラクテ(3勝)
||ヤマニンプチフール
|||ヤマニンプチガトー(4勝)
||ヤマニンフェリーヌ
|||ヤマニンカヴァリエ(3勝)
|Bejat
||Crimson Road
|||Crimson Reign(豪キンダーガードンS)
||Glick(サンシメオンH)


(ローブデコルテがすでに死亡しているとの指摘を受け、記事を一部修正)

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