セレクトセールあれこれ
セレクトセールの結果を後から目を通して、気になるのはやはり海外バイヤーの動向。メモ程度になるが少し書いておこう。
昨年セレクトに参入したカタール勢、今年は購買がなかった様子。ラマダン期間だったからという話も耳にしたが、去年もラマダン期間中に爆買いしていたはずなので、このへんの真相はよくわからない。
一方で新たなバイヤーとして名を連ねたのが、Winster Farmとガイ・ウォーターハウス(Gai Waterhouse)調教師。
今世紀に入ってから勃興した大手牧場Winsterはケンタッキーに本拠を構え、Well Armed(ドバイCW)やSuper Saver(ケンタッキーダービー)を生産し、またDistorted HumorやTiznow、Pioneer of the Nileといった一流種牡馬を繋養している。今年は初日の1歳馬セッションで母*ヒルダズパッション(父ハーツクライ)、母*レーヴドフィユ(父*エンパイアメーカー)、母ジョリーダンス(父エンパイアメーカー)の3頭を落札。また2日目には母*オールアイキャンセイイズワウ(父エンパイアメーカー)と母*ナン(父ステイゴールド)の2頭の当歳馬を購入している。5頭はいずれも牡馬だ。
CEOのエリオット・ウォールデンは「日本に出た血をアメリカに戻してみたい」「Galileoよりも*サンデーサイレンスを戻した方が結果がいいと思う」などとコメントし、また同時にオーナーのケニー・トラウトが賞金の高いJRAへの参入にも強い興味を持っていることも明かしている。
ガイ・ウォーターハウス師はオーストラリアのトップ調教師のひとり。More JoyousやDescarado、Pierroなど多くのG1ウイナーを送り出し、2013年にはFiorenteで念願のメルボルンカップを制している。メルボルンカップを狙えるようなスタミナ豊富な血統の馬を探したという彼女は、今回のセールで*バゴ産駒の1歳馬や、*ノヴェリスト産駒やオルフェーヴル産駒の当歳馬など計6頭を購買した。またWinsterと同様にJRAへの進出も興味を示しているそうだ。
その他には、アイルランドをベースに活動するエージェントMick Flanaganもディープインパクト産駒の当歳牝馬(母*ペイトンドーロ)を落札し、「もしアメリカのセールにこの馬が上場されても、同じ価格が付いただろうね」と述べている。顧客はアメリカ人のようで、同馬も北米でデビューすることになるかもしれない。
今回の当歳には*ノヴェリストの初年度産駒も多く上場されたが、母ラスティングソングの当歳馬を落札したベルクラー博士(Dr Berglar)は、その*ノヴェリストの生産者であり馬主である。「*ノヴェリストに非常によく似ている」という幼駒は当面はノーザンファームで過ごすものの、最終的には父と同じドイツのヴェーラー厩舎に預託される予定だそうだ。なお*ノヴェリストの種付け権利を所有しているベルクラー博士は、配合相手としてケルゴルレイ賞(仏G2)を勝った牝馬*ポントテレーザ(父Sicyos)をノーザンファームに預託している。さらに今後、他の繁殖を日本に置くプランもあるという。
日本人馬主の動向は他の方に任せて、まあこんなところで。
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