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紡ぎ

1989年11月12日 エリザベス女王杯

単勝430.6倍。現在も破られていないG1の最高配当は、前走900万ダート戦で凡走した20番人気の牝馬によって造られた。
サンドピアリス。そんなことあるんだ、とひたすら驚いた。

1番人気に推された桜花賞馬シャダイカグラは、武豊とともに最下位に沈み、2番人気のメジロモントレーは末脚を失くして7着に敗れた。

ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオン初のG1タイトルである。

 

1990年5月20日 オークス

無敗の桜花賞馬アグネスフローラをゴール前で強襲したのは、5番人気のエイシンサニー。鞍上はサンドピアリスで世を驚かせた岸滋彦。
府中の長い直線に、結論を急ぐのは愚と知った。

平井豊光オーナーと坂口正則調教師にとって、それは初のG1タイトルとなった。

 

1992年3月22日 報知杯4歳牝馬特別

1番人気で桜花賞の前哨戦に臨んだディスコホールは、岡部幸雄を鞍上に危なげないレース運びでの快勝である。
岡部騎手は今でも一番好きだった騎手かもしれない。
中穴を演出したのは、ダート戦からの転戦で人気薄だったイエローブルーム。快速を飛ばして2着に逃げ粘った。

 

1994年6月12日 ディアヌ賞(仏オークス)

勝ったのは、兄にKingmambo、母がMiesqueという泣く子も黙る良血牝馬East of the Moon。これで仏1000ギニーとの2冠達成である。
当時はこの牝系の繁殖が日本に来るなんて、予想できなかった。
僅差の2着にHer Ladyshipが入り、2番人気Kalajanaは9頭立ての8着に沈んでいる。

 

2015年12月6日 チャンピオンズカップ

歴戦の牡馬を相手に分が悪いという見方もあり、サンビスタは12番人気に甘んじていた。ミルコ・デムーロ騎手を背に見事な舞いを見せたサンビスタは、サンドピアリス以来26年ぶりに、ヒダカ・ブリーダーズ・ユニオンにG1勝利をもたらしたのだった。祖母のイエローブルームから*ミシル、スズカマンボと重ねられたグランド牧場の「意志」もまた、見事なものである。

 

2015年12月13日 阪神ジュヴェナイルフィリーズ

先行からの抜け出しという正攻法で2歳女王に輝いたのは、メジャーエンブレム。父ダイワメジャーを産んだスカーレットブーケは91年のクラシックで惜敗を続け、エンブレムの3代母Her Ladyshipもまた、仏オークスで大魚を逃している。名手ルメールを背に、勝者はクラシックへと向かう。

同日 香港マイル

メジロモントレーの孫モーリスが、Able Friendらの強豪を相手に香港マイルを勝ち切った。終いの斬れだけではなく力強くねじ伏せる勝ち方は見事であり、久しぶりに重厚感のあるマイラーらしいマイラーの出現は、今年の本邦競馬界において最も大きな収穫と言っても過言ではなかろう。

同日 香港カップ

エイシンヒカリを勝利に導いた武豊、これが以外にも芝G1では初めての逃げ切り勝ちだそうだ。そして坂口調教師にとっても、実にエイシンサニー以来25年振りのG1制覇である。

今の競馬を見て、あのころの競馬を思い出し、あの頃の気持ちを思い出す。紡がれる物語と、変わったような変わっていないような自分がそこに在る。

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