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二ノ宮厩舎 私的5撰

かねてからウワサがあったとおり、二ノ宮調教師の勇退が明らかとなった。体調などが理由とのことで残念ではあるが、彼が本邦競馬史に残した足跡の「深さ」はこの先も語り継がれることになるだろう。個人的にも好きな調教師のひとりであった二ノ宮師の私的な5撰を。

・アクシオン(03年生・牡・父サンデーサイレンス)

時代を変えたスーパーサイアー、サンデーサイレンス。その最後の世代の一頭であるアクシオンはJRAでの最後の出走も記録している(2012年の札幌記念)。中距離の芝で切れ味を活かすという父の産駒の特徴そのままに、息長く活躍した。

・ショウナンアルバ(05年生・牡・父ウォーエンブレム)

こちらはとてつもないポテンシャルを秘めていた(かもしれない)ウォーエンブレムの初年度産駒にして初の重賞勝ち馬。姉のショウナンタレントと同様に3歳春以降は伸びあぐねたが、二ノ宮厩舎がクラシックの前哨戦を勝つと何故かワクワクしたものだ。

・ブリッツェン(06年生・牡・父スペシャルウィーク)

広尾で出資馬が重賞を勝つというレアな経験をさせてくれたのが本馬。そのダービー卿CTは東日本大震災直後のレースで、中山ではなく阪神での施行だった。余震や原発事故などが続き漠とした不安に包まれた生活の中、彼が必死に逃げ切った姿に少なからず勇気を貰ったことを今でも覚えている。

・モンチッチ(88年生・牝・父Montelimar)

この馬を覚えていたら相当マニアックだと思う。自分がビギナーのころによく府中や中山で見た姿は、そのユニークな馬名と共に記憶に残っている。父のMontelimarはAllegedを経たRibot系、母系もBlakeney、Relic、Alycidonらの名が並び、今では見ることが叶わない渋い血統の持ち主だ。今もわずかに末裔は残っているようだ。

・エルコンドルパサー(95年生・牡・父Kingmambo)

長い競馬歴の中でも3指に入る大好きな競走馬。Special≒Lisadellの4×4・3という大胆かつ鮮烈な牝馬クロスを持ち、後のKingmambo×Sadler's Wellブームの嚆矢となった。毎日王冠もJCも名レースだったが、渡邉オーナーと二ノ宮師が敢行した長期遠征こそが本懐だろう。病床の父とラジオを聞いたサンクルー大賞典の勝利も、あれ以上の高揚は味わったことがない凱旋門賞の直線も、全てが素晴らしい想い出だ。種牡馬としては早逝に終わったが、産駒のアロンダイトは一口で初のG1勝ちをもたらしてくれた。

もちろんこの他にもナカヤマフェスタ、ザカリヤ、レインボーダリア、ディーマジェスティ、スシトレインなど印象深い馬は多い。

二ノ宮調教師とは某クラブのパーティでお会いしたことがある。勇気を出して話しかけると的確に質問に答えてくださり、非常に穏やかな方とお見受けした。一線を退くのは残念だが、冒頭触れたように、エルコンドルパサーの足跡は時代が廻っても色褪せることのない快挙として語り継がれていくことは間違いない。

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