Superb in Rosesの謎
日本で1998年から馬主として活躍していた藤田与志男氏は、それよりも数年前にアメリカで競走馬のオーナーとしてのキャリアをスタートさせた。2000年11月、日本から所有馬*マルターズスパーブをアメリカのブリーダーズカップ・フィリーアンドメアターフに遠征させた(13着)が、同日のBCディスタフで5着に健闘したLu Raviという牝馬も、藤田氏が当地で所有していた競走馬だった。
Lu Raviは上記BCディスタフ以外にも、コティリオンH(G2)やモリーピッチャーH(G2)を勝ち、アップルブラッサムH(G1)では2年連続2着に入るなど26戦11勝、180万ドル以上を稼ぎ出した活躍馬である。
そのLu Raviは繁殖入りし、藤田与志男氏(逝去後は藤田在子氏)の持ち馬を中心に本邦でも牝系が続いているのだが、先日奇妙な事実に気づいた。Lu Raviの初仔Superb in Rosesは2008年、*ヨハネスブルグとの間に*ビーラヴリーという牝馬を産んでいるのだが、TARGETで検索すると、同じ08年生まれにMaltese Googolという牝馬もヒットする。
要するに、Superb in Rosesは08年に2頭の産駒が登録されているのだ。
最初は双子か何かとも思ったが、Maltese Googolの父はSpeightstownだから、それはない。pedigreequery.comなど海外の血統DBで検索してみても、やはり08年に父馬の違う上記2頭を産んだことになっている。
なぜなのか。調べてみると真相はシンプルなものだった。
Superb in Rosesは2008年1月18日、アメリカで父*ヨハネスブルグの牝馬を産んだ。その後翌年の出産に向けてSpeightstownを種付けしたのだが、年越しを目前にした同年12月31日に身ごもっていた牝馬を出産してしまったのである。前者が*ビーラヴリーで後者がMaltese Googolというわけだ。
一日くらい誤魔化しちゃえばよかったのに、などと考えるいい加減な私なのである。
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