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2019年10月

世界の牝系100に追加する(4)

【Goofed】

本家では選から漏れた17号族から、レディースH勝ち馬Goofedの牝系をチョイス。
このボトムラインで最も有名なのは、ジャックルマロワ賞を制したLyphardで異論はないだろう。同馬は引退後、*ダンシングブレーヴやAlzaoなどの父となり、歴史に名を残す大種牡馬となったのは周知のとおりだ。

Lyphardの半妹Nobiliaryは牝馬ながら英ダービーで2着したが、後継には恵まれなかった。

Dumfriesの分岐は広く枝葉を伸ばしているが、中でもFlower AlleyはトラヴァーズSを勝ち、種牡馬としても*アイルハヴアナザーを送り出した。またFlower Alleyの母*プリンセスオリビアは後年輸入され、産駒のトーセンラーとスピルバーグはともに切れ味鋭い末脚を武器にG1馬となった。両馬はGoofedを5*5・5で持つ。

千代田牧場が導入したLyphardの半妹*バーブズボールド。サイレントキラーやシンコウバーブなど個人的に思い出深い馬名が並ぶこのラインの一等星は、日本調教馬として初めてヨーロッパG1を制した快速牝馬*シーキングザパールだろう。その仔*シーキングザダイヤはダート戦で活躍後、チリで成功種牡馬となっている。

また近年、Enthrallerを経た分岐からはアレスバローズやソルヴェイグなど短距離で結果を出すスピード馬が目立ち、今後の伸展が期待される。

Lyphardは種牡馬としてはもちろん、ディープインパクトやハーツクライの母系にもその名を残している。Lyphard以外のラインも各地で拡がりをみせており、今後も世界の馬産に影響力を持ち続ける牝系と言えるだろう。

 

Goofed 1960 F-17   
|Lyphard(ジャックルマロワ賞/米仏リーディングサイアー)
|Barcas(ボーリンググリーンH/種牡馬)    
|Nobiliary(ワシントンDC国際・英ダービー2着他)
|Dumfries
||Diamond Spring
|||Diavolina
||||Go Boldly(ヴィシー大賞典3着)
||||Golden Way
|||||Ashkal Way(サイテーションH)
|||||Sentiero Italia(レイクプラシッドS他)  
|||Diamantaire
||||Devika
|||||Donatello(ゴルデネパイチェ2着)
|||Dance Image
||||*プリンセスオリビア
|||||Flower Alley(トラヴァーズステークス/種牡馬)
|||||Flowerette
||||||Arraignment(ブリテッシュコロンビアダービー3着)
||||||*オールステイ(きさらぎ賞5着)
|||||ブルーミグアレー(フローラS3着)
||||||ランブリングアレー(フラワーC3着)
|||||トーセンラー(マイルCS/種牡馬)
|||||スピルバーグ(天皇賞秋/種牡馬)
||||Interneto commander(ジャマイカ2歳牝馬チャンピオン)
||Dance Review
|||No Review(サンタバーバラH他)
|||*ダンスオンザコースト
||||ケイツーパフィ(クイーンS3着)
||||キングリファール(日本テレビ盃3着)
|||Dance Colony(アディロンダックS)
||||Gold Colony(ブッシャーS2着)
||||Big Prairie(種牡馬)
||||Cho Cho San
|||||Blueskiesnrainbows(スワップスS/種牡馬)
|||||Choo Choo(サンフランシスコマイル3着)
|||Promenade Colony
||||Promenade Girl(スピンスターS3着)
|||||Cavorting(テストS/オグデンフィプスS他)
|||||Thrstforlife(ベストパルS3着)
|||||Moon Colony(ペンマイルS)
||Dumfries Pleasure
|||Urbane(アシュランドS/ハリウッドスターレットS他)
||||Suave(ノーザンダンサーS/ジョッキークラブGC2着他)
||||Worldly(オハイオダービー2着/種牡馬)
|||Karsavina(愛オークス3着)
|Anya Ylina
||Ready for Action
|||Major Force(テトラークS)
|||Tasha’s Dream(メイヒルS2着)
|||Dancing Action(ペルー・ベナビデス&カンセコ賞他)
|||Miss Highjinks
||||Azzurro(インド・ラマスワニーステイヤーズC他)
|Tertiary
||Kefaah(ブックメイカーズクラシック/種牡馬)
||*プライマリーⅡ(輸入種牡馬)
||Ixtapa
|||Dark Nile(オカール賞2着/種牡馬)
|||Clear Spring
||||Spring Style(ロバートJフランケルS)
|*バーブスボールド
||Hooked Bid
|||*カーフィリィ
||||ホワイトハピネス(京都大賞典3着)
||*フックライン
|||ブランシュネージュ
||||グリム(レパードS・名古屋大賞典他)
||Miss Marbles
|||Smile of Desire
||||Vo Heart(豪・シャンペンクラシック)
||Magical Miss(豪・VRCオークス他)
||Thorn Dance(種牡馬)
||Page Proof
|||*シーキングザパール(NHKマイルC・モーリスドギース賞)
||||*シーキングザダイヤ(フェブラリーSなどG12着9回/種牡馬)
|||プルーフオブラヴ
||||リビングプルーフ
|||||テトラドラクマ(クイーンS)
||リファールニース
|||リファールカンヌ
||||ブルドッグボス(JBCスプリント3着・クラスターC)
|||ジューンブライド
||||コメート(ホープフルS2着/種牡馬)
|||ビッグフリート(関屋記念3着)
|||マヤノスターダム(阪神ジャンプS)
||サイレントキラー(ラジオ短波賞2着)
|Enthraller
||Excited Regent
|||Kendel Star(ビルスタットS2着/種牡馬)
||*エンスラーリングレディ
|||エンスラーリング
||||タイセイエトワール
|||||アレスバローズ(CBC賞/種牡馬予定)
||*アイリッシュカーリ
|||ソルジャーズソング(高松宮記念3着)
|||アスドゥクール
||||ソルヴェイグ(フィリーズレビュー)
||||ドロウアカード(フラワーC3着)
|||エールブリーズ(京王杯SC3着)    

ここでいったん、この追加企画は小休止とします。また機を観て追加するかもしれませんので、気長にお待ちくだされば幸いです。

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世界の牝系100に追加する(3)

【Bitty Girl】

Bitty GirlはクインメアリーS等を勝って1973年の英最優秀2歳牝馬となった快速馬で、主にNijitとSue Warnerの2頭の後継牝馬によってボトムラインが広がっている。

前者からはアーカンソーダービーを制して米クラシックで活躍したBodemeisterとデルマーデビュタント2着Fascinatingの兄妹や、ラトロワンヌS勝ち馬She’s a Julieなどが出ている。本邦においては*キングナムラやケイアイエレガントなどもこの一族だ。

一方のSue WarnerからはBCジュベナイル馬Action This Day、ドバイで活躍したLord Admiralなどが輩出された。BCスプリント馬で社台スタリオンが導入した期待の種牡馬*ドレフォンはAction This Dayの甥にあたる。

この牝系の最も新しい輝きは、今年(2019年)の英オークスやヴェルメイユ賞、英チャンピオンズ・F&Mを制したStar Catcherである。

概観すると活躍馬の出現にややムラのある牝系ではあるが、名牝Star Catcherの登場と、*ドレフォンの導入というタイムリーな話題を供給しており、今後の拡がりに期待を込めての選出とした。

Bitty Girl 1971 1-F  
|Nijit (コティリオンS3着)
||Spanish Parade
|||Parade Queen(ミセスリヴィアS)
||||Obay(サウジ・国王杯2着)
||||Kydd Gloves
|||||*タクトフリー
||||||Ambassadorial(コリアカップ3着)
|||||She’s a Julie(ラトロワンヌS)
||||Untouched Talent(ソレントS)
|||||Bodemeister
|||||(アーカンソーダービー/ケンタッキーダービー2着/種牡馬)
|||||Fascinating(デルマーデビュタント2着)
|||||Top Billing(ファンテンオブユースS2着)
|||*キングナムラ(中日スポーツ賞4歳S2着)
|||Post Parade
||||Lemon Law(ロシア・イントロダクションS2着)
||||*ケイアイライジン(プリンシパルS)
||||ケイアイアレガント(京都牝馬S)
|Beaudelaire(モーリスドギース賞/種牡馬)
|*ワラダー (輸入繁殖牝馬)   
|Sue Warner
||Najecam(プリンセスS2着)
|||Action This Day(BCジュベナイル/種牡馬)
|||Eltimaas
||||*ドレフォン(BCスプリント/種牡馬)
||Lady Ilsley
|||Lord Admral(ジェベルハッタ/タタソールズゴールドC3着他/種牡馬)
|||Lynnwood Chase
||||Pisco Sour(ユジェーヌアダム賞)
||||Cannock Chase(カナディアン国際/種牡馬)
||||Star Catcher(英オークス/ヴェルメイユ賞)
||Quiet Down
|||Quiet Meadow(イートンタウンH他)

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世界の牝系100に追加する(2)

【Kalila】

半兄に仏ダービー馬で名種牡馬となるVal de Loir、半妹に英オークス馬Valoisを持つKalilaを祖とするボトムラインである。

Kalilaの2番仔でサンタラリ賞馬Lalikaは母国フランスを中心にその枝葉を広げていて、3兄妹でG1を勝ったWe Are(オペラ賞)・Call The Wind(カドラン賞)・With You(ロトシルト賞)や、2018年の仏1000ギニー馬Teppalの名が連なっている。香港ヴァーズの勝ち馬Dominantもこの一族出身だ。

4番仔となるRoi Learはヴェルテメール夫人(夫はシャネル創業者のひとりピエール・ヴェルテメール)の勝負服で1973年仏ダービー馬に輝いている。

Lalika以外の後継牝馬からはバラエティに富んだ活躍馬が出ている。オペラ賞馬Athykaやその仔でフランスからアメリカに移籍しオークローンHを勝利したAtticus、ドバイWCで3着に善戦したAllybar。MoohaajimはミルリーフSを制して種牡馬となり、またアポロマーベリックは中山グランドジャンプを勝っている。

また*ラキオーラは本邦輸入後は活躍馬を出せなかったが、その末裔にはJC馬*ランドの後継種牡馬として貴重な父系を継ぐScaroがいる。さらに、地味な出自ながらBCマイル連覇など北米の芝路線を制圧した栗毛の快速馬Wise Danもこの一族だ。同馬はエクリプス賞年度代表馬に選出された名馬で、芝を主戦場としたマイラーとしては史上初の快挙となった。

Kalila 1961 F-5
|Lalika(サンタラリ賞)
||Lerida
|||Bellarida(ロワイモヨン賞)
||||Forty Bells
|||||Jummana
||||||Another Party(ボワ賞2着)
||||||Teppal(仏1000ギニー)
||||Bayourida(ノネット賞2着)
|||||Bee Charmer(シカモアS2着)
|||||Tatterdemalion
||||||Miss Laa Di Da(ダンスデザインS3着)
||||Bellona(ペネロペ賞3着)
|||||Es Que
||||||Dominant(香港ヴァーズ、クイーンマザーメモリアルC)
||||In Clover(フロール賞)
|||||We Are(オペラ賞)
|||||Call the Wind(カドラン賞)
|||||With You(ロトシルト賞)
||||Belesta
|||||Assign(豪・ハーバートパワーS)
|||||Giuseppe Piazzi(ノルウェー・オスロC)       
|Princesse Kali (ベルドニュイ賞2着)
||Athyka(オペラ賞)
|||Atticus(オークローンH/種牡馬)
||Princesse Kathy
|||Athyka
||||Miss Lago(ロワイヤルオーク賞2着)
|||Irika
||||Allybar(マクトゥームチャレンジR2・ドバイWC3着)
|||Kiriyaki
||||Thunder Dragon(ジムクラックS3着)
|||Toujours Irish
||||Dubai Surprise(リディアテシオ賞)  
||Aspern
|||Cudas(リュパン賞・仏ダービー3着)
|||Priscess of Tides
||||Vitakine(ブラジル・カシアス公爵賞)
|||*ファスタ(ミセスリヴィアS2着)
||||オメガファスター
|||||アポロマーベリック(中山GJ)
|||Theoretically(デルマーオークス2着)
||||Niagara Causeway(東京シティH・種牡馬)
||||Thiella
|||||Moohaajim(ミルリーフS・種牡馬)
|Roi Lear(仏ダービー)    
|Kara Sou 
||Touch of Pink
|||Roseate wood
||||Rosensturm(チェコで種牡馬)  
|*ラキオーラ(クレオパトル賞2着)   
||Askmysecretary
|||Carsona(ハリウッドオークス3着)
|||Lisa Danielle
||||Our Royal Dancer
|||||Bailando Voy(パセアナ賞)
||||Successful Dan(アリシーバS他)
||||Wise Dan(BCマイル他/米年度代表馬)
||Saquiace
|||Sky Dancing
||||Scaro(オイロパ賞/種牡馬)
||||Sound(ベルリン大賞2着)    

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世界の牝系100に追加する(1)

平出貴昭さんが『覚えておきたい世界の牝系100』を上梓された。5年前の『日本の牝系100』出版の際には8牝系を追加するという勝手な企画を当ブログで展開させてもらったが、今回も便乗して、独断と偏見で追加の牝系をいくつか紹介していきたい。

No Class

カナダ生まれのNo Classは競走馬としては凡庸であったが、引退したのちに歴史に名を残す繁殖牝馬となった。2番仔のClassy 'n Smartがカナダ最優秀3歳牝馬に、3番仔Gray Classicと4番仔Legal Classicがいずれもカナダ最優秀2歳牡馬に輝く。さらに5番仔のSky Classicはロスマンズ国際やターフクラシック招待を勝ってアメリカの最優秀芝牡馬に輝いた。

Classy 'n SmartはBCディスタフ勝ち馬のDance Smartlyや*スキャターザゴールド、Dancethruthedawnといった重賞馬を産んで枝葉を広げた。この一族には良血を買われて種牡馬入りした牡馬も少なくない。

一族の名をさらなる高みに押し上げたのは、Smart Strikeだ。フィリップ・H・アイズリンハンデキャップ(G1)を勝って種牡馬入りした同馬はアメリカで種牡馬入り。覇王Curlinを筆頭に芝ダートの双方で活躍馬を排出し、ついには北米リーディングサイアーに輝いたのである。

本邦関連では、*スキャターザゴールドが種牡馬として輸入されたほか、ハッピースプリントや*ラヴェリータなどがダートでその資質の高さを証明している。

No Classとは「まったくダメ」という意味だが、その名と裏腹に、Nothern DancerやNijinskyを産んだカナダが誇る素晴らしき牝系といえよう。

No Class 1972 F-23
|Classy 'n Smart(加オークス/加最優秀2歳馬)
||Secret N Classy(種牡馬)
||Dance Smartly(BCディスタフ)
|||Dance Brightly(種牡馬)
|||Seek Smartly(種牡馬)
|||*スキャターザゴールド(クイーンズプレート/種牡馬)
|||Dancethruthedawn(ゴーフォーワンドH)
||||Danceinthesunlight
|||||Moreno(ホイットニーS)
|||Dance to Distny(種牡馬)
|||Dance with Ravens(種牡馬)
|||Dancethruthestorm
||||Danceforthecause
|||||Say the Word(キングエドワードS2着)
|||Danceinthesunshine(種牡馬)
||Whispered Secret
|||*マーゴーン
||||ハッピースプリント(東京ダービー/NRA年度代表馬)
||Seattle Classic
|||Go Classic
||||*ラヴェリータ(エンプレス杯他)
|||Hello Classic(加最優秀2歳牝馬)
|||Fleet of Foot
||||His Race to win(オンタリオダービー)
||||Torreadora
|||||El Tormenta(ウッドバインマイル)
||Smart Strike(北米リーディングサイアー)
||Dance Swiftly
|||Paiota Falls
||||African Ride(ポルトマイヨ賞2着)
|||West Coast Swing(レイヴンランS2着)
|||Speightster(ドワイヤーS/種牡馬)
|Gray Classic(加最優秀2歳牡馬)
|Regal Classic(加最優秀2歳牡馬/種牡馬)
|Sky Classic(ロスマンズ国際/BCターフ2着/アメリカ最優秀芝牡馬)
|Classic Slew
||Surging River(種牡馬)
||Ford Every Stream(加マリーンS3着/種牡馬)
||Go First Class
|||Silver Ticket(キングエドワードH)
||Classic Soul
|||Speedy Soul(ウッドバインオークス3着)

*牝系表作るのに精一杯で、表記はブラックタイプ方式に準拠していません。あしからずご容赦ください。
*本家と違いファミリーナンバー順の紹介ではありません。

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